事例名称 |
アンモニア酸化器の応力腐食割れ |
代表図 |
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機器 |
酸化器/本体/炭素鋼 |
事例概要 |
酸化器はNH3、空気、スチームの混合ガスを950℃の白金触媒ネット上で反応させて、NOおよびNO2ガスを生成する装置である。この酸化器の温度領域が300~400℃と推定されるフランジ継ぎ手溶接部が、使用9ヶ月の時点で、貫通割れを生じた。当て板溶接補修して運転再開したが、約4ヶ月経過の時点で当て板に著しい割れを生じた。 |
事象 |
補修板についてミクロ組織観察した結果、分枝状の貫粒割れであることが確認された。器内ボイラー管と胴体内壁とのすきまに詰めてあったガスバイパス防止用の詰め物から硝安が検出された。 酸化器内のボイラー管と本体内壁との間に詰めてあった反応ガスバイパス防止用の詰め物に、副生した硝安が堆積して、炭素鋼の応力腐食割れ環境条件を形成した。これに応力要因としてフランジ継手部の残留応力が関与して、応力腐食割れを発生させた。この割れが応力腐食割れであることを認識せずに、SS材を用いて溶接補修したため、補修材にも応力腐食われを生じさせた。 |
原因 |
応力腐食割れ |
対策 |
応力腐食割れの環境要因である硝安の器壁への接触の媒介となった詰め物を、器壁から離すことによる構造面からの対策を講じて割れ発生を防止した。 |
知識化 |
本体の割れ原因を充分究明しないままに、応急処置を取ったために二次的損傷をもたらした。 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、勉学不足、使用、運転・使用、酸化器、炭素鋼、溶接継手、不良現象、化学現象、ガス流通遮蔽、異常反応、反応物質の堆積、破損、破壊・損傷、応力腐食割れ、炭素鋼、肉厚貫通、漏洩、使用、保守・修理、部材補強、破損、破壊・損傷、応力腐食割れ、漏洩
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情報源 |
武川哲也:炭素鋼の応力腐食割れ-化学プラントにおける事例-、日本材料学会腐食防食部門委員会研究集会資料 No.18, Nov. 7, 1980
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マルチメディアファイル |
図1.フォールトツリー図 アンモニア酸化器の応力腐食割れ
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図2.イベントツリー図 アンモニア酸化器の応力腐食割れ
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分野 |
材料
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データ作成者 |
武川 哲也 (元住友化学(株))
小林 英男 (東京工業大学)
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