事例名称 |
重油間接脱硫装置の水硫化アンモニウム腐食による異常腐食 |
代表図 |
|
機器 |
反応物凝縮器/出口ヘッダー/炭素鋼 |
事例概要 |
減圧軽油水添脱硫装置の反応物凝縮器(HE105)出口ヘッダーのキャップ部が開口し内流体の炭化水素が漏出し爆発した。事故当時の当該部の運転条件は、温度44℃、圧力87kg/cm2Gで平常運転中であった。 |
事象 |
開口原因についての検討結果:標準的な運転条件より比較的高い水硫化アンモニウム濃度で管理されていた中、流れの条件の変化により局所的に異常な腐食の進行したもの。別の類似箇所に於ける腐食部では硫化鉄の固着があってその下で塩類の濃縮を伴った腐食進行、また気液混相流が激しく激突する部位での減肉も認められていることから当該部においても同様な状況下で異常減肉を起こしていたと推定された。 事故発生の4年前、プロセス改造され、その後の検査で出口ヘッダーのエルボ間に減肉率の差があり、その原因が各系統間で腐食性物質の濃度に差があるためと考え、前年に反応物凝縮器の入口配管に注水管を設置し月一回6から8時間、間欠注入にした。その後、異常な腐食の進行により開口した。ヘッダーキャップ部で腐食性物質等の堆積による腐食成分の濃縮により腐食したものと推定された。 |
原因 |
水硫化アンモニウム腐食 |
対策 |
内流体は水硫化アンモニウム濃度が高い腐食性環境であり濃度管理とともに流速管理が必要である。高流速が腐食促進するだけでなく滞留部でもスケール堆積、腐食成分濃縮による腐食進行があり得る。上流への水注入の均一、偏流を防止する設計、運転が必要である。 |
知識化 |
水硫化アンモニウムによる異常腐食減肉防止のためには、水注入における腐食性物質の濃度管理、保守点検や偏流防止のための構造設計が重要。 |
シナリオ |
主シナリオ
|
無知、知識不足、過去情報不足、使用、運転・使用、機器・物質の使用、使用、保守・修理、検査、破損、減肉、腐食・酸化、破損、破壊・損傷、破壊・破断、破損、大規模破損、水硫化アンモニウム漏洩、二次災害、損壊、火災、漏洩
|
|
情報源 |
中国通商産業局、事故調査分科会:日本鉱業(株)水島製油所重油間接脱硫装置爆発事故調査報告書
|
マルチメディアファイル |
図1.フォールトツリー図 重油間接脱硫装置の水硫化アンモニウム腐食による異常腐食
|
図2.イベントツリー図 重油間接脱硫装置の水硫化アンモニウム腐食による異常腐食
|
分野 |
材料
|
データ作成者 |
橋本 哲之祐 (元千代田化工建設(株))
小林 英男 (東京工業大学)
|