事例名称 |
耐摩ライニング材質による母材の浸炭、ライニングの剥離への影響 |
代表図 |
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機器 |
石油精製/流動接触分解装置/再生塔内プレナムチャンバー/SUS304、耐摩ライニング/2430ID*10t |
事例概要 |
再生塔2ndサイクロンを保持し、サイクロンからのガス出口に位置しているプレナムチャンバー下部に施工していた耐摩ライニングがアンカーとともに脱落していた。上部のライニングは健全であった。運転温度744℃、圧力265KPa。 |
事象 |
上下のライニングについて成分分析、プレナムチャンバーシェルのミクロ検査と硬さ測定を実施した。損傷ライニングではSが含有していない。健全ライニングではS量が高く、かつCa量が高かった。またシェルでは炭化物が析出し浸炭していた。とくにアンカー部では浸炭進行が著しい。 損傷のあった耐摩ライニングはSを含有していないためガス中のSがライニング中に侵入してシェルやアンカー中のCrと結合しCr低下のため高温硫化、浸炭、酸化の複合損傷をうけた。その結果、ライニング下でのスケール発生によりライニングの密着性がなくなり脱落した。健全部ではSがライニング通過中にライニング中のCaと反応しCaSO4が形成され、母材までSが到達しなかったと推定。 |
原因 |
浸炭とライニング剥離 |
対策 |
ライニングのCa含有有無による差異を比較検証中。また、アンカーの耐浸炭性、耐酸化性の向上のため材質変更を検討中。 |
知識化 |
ライニング材の成分により耐熱特性が大きく異なる可能性があること |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、過去情報不足、経験不足、計画・設計、流用設計、既製品流用、ライニング材、製作、ハード製作、機械・機器の製造、機能不全、ハード不良、機器使用不能、不良現象、化学現象、材料劣化、破損、劣化、破損、破壊・損傷、ライニングの破壊
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情報源 |
長田真太郎:流動接触分解装置における最近のトラブル事例について、石油学会 第31回装置研究討論会, 22 (2000)
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マルチメディアファイル |
図1.フォールトツリー図 耐摩ライニング材質による母材の浸炭、ライニング剥離への影響
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図2.イベントツリー図 耐摩ライニング材質による母材の浸炭、ライニングの剥離への影響
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備考 |
建設時、使用条件に対するライニング材質選定に関する情報が不足した可能性あり |
分野 |
材料
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データ作成者 |
橋本 哲之祐 (元千代田化工建設(株))
小林 英男 (東京工業大学)
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