失敗事例

事例名称 アルミニウム黄銅製熱交換器管の淡水による応力腐食割れ
代表図
事例発生地 日本/只見川地域
機器 熱交換器/アルミニウム黄銅
事例概要 シェル&チューブ型の変圧器オイル冷却器の冷却水として地下水と只見川川水の混合水を使用していたところアルミニウム黄銅管が運転開始後1年10ヶ月頃から管の割れが続発し始めた。総数848本のうち4.5年間に182本に割れがおきた。冷却水温:入り口11~21℃出口16~26℃、油温:入り口48~53.5℃出口45~50.5℃。割れはすべて管の長手方向に直角に生じ、微少な孔食から発生している。
事象 割れは応力腐食割れによるもので結晶粒内割れである。応力は管、管板の組み立て時の残留応力による。腐食性物質は多分冷却水中の硫黄であろう。地下水中では全面腐食、川水でも受動態を保つが交互にあるいは混合して使用したとき応力腐食割れを起こしやすい。
経過 地下水と川水を混合して使用した場合には微少な孔食が発生し、孔食から発達した割れが発生しやすい。
原因 応力腐食割れ
対策 当該の水質の冷却水を使用する熱交換器管としては応力割れ感受性の小さい材質を選定する。
知識化 自然水を使用している場合でも、水質の使用条件によっては銅合金の応力腐食割れを起こすことがある。材料選定時によくよく考慮が必要。
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、過去情報不足、経験不足、思いこみ、製作、ハード製作、機械・機器の製造、使用、運転・使用、機器・物質の使用、機能不全、ハード不良、機器使用不能、破損、破壊・損傷、応力腐食割れ
情報源 下平三郎他:防食技術, 9, 297 (1960)
物的被害 冷却器の使用不能
社会への影響 類似使用条件の熱交換器が多数有り割れ発生懸念の警鐘
分野 材料
データ作成者 橋本 哲之祐 (元千代田化工建設(株))
小林 英男 (東京工業大学)