事例名称 |
ステンレス鋼熱交換器管の淡水による孔食 |
代表図 |
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機器 |
熱交換器 |
事例概要 |
3年半使用してきた316ステンレス鋼製蒸留器コンデンサーのU伝熱管のチューブ(井水)側より孔食が発生した。当該コンデンサーではシェル側の100℃~110℃のスチームで、チューブ側の32℃以下の井水が100℃に加熱される。 |
事象 |
チューブを抜管し、半割にした外観及び断面観察より、チューブ内面には全面黒色の付着物が多量に認められ、その下に孔食が生じていた。分析の結果、付着物の主成分はMnであった。 |
経過 |
孔食発生の条件として、微生物腐食、付着物下での塩素イオンの濃縮、酸化剤共存下での電位上昇が考えられた。検討の結果、Mn主体の付着物の存在から、水の塩素処理に使用した次亜塩素酸により過マンガン酸が生成し、孔食電位を超える電位上昇となり、酸化剤の共存下での電位上昇のための孔食と判断した。 |
原因 |
酸化剤の共存下での電位上昇のための孔食 |
対処 |
塩素処理の実施を止めることができないため、冷却水に使用する水に含まれるMnイオンは1mg/リットルであるが、さらにMnを除去することとした。 |
知識化 |
ステンレス鋼は淡水環境では耐食材料として広く使用されているが、いくつかの環境条件が複合したとき、淡水環境であっても思わぬ漏水事故を招くことがある。とりわけ、本件のように高温に加熱され、付着固形物の生じる場合に起こりやすい。 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、経験不足、調査・検討の不足、環境調査不足、水質検討不足、使用、運転・使用、機器・物質の使用、破損、減肉、酸化剤の生成と付着、孔食
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情報源 |
川村文夫:日本材料学会腐食部門委資料,No. 236, Vol.43,23(2004)
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マルチメディアファイル |
図2.孔食断面
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表1.井水質
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表2.付着物分析結果
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分野 |
材料
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データ作成者 |
橋本 哲之祐 (元千代田化工建設(株))
小林 英男 (東京工業大学)
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