事例名称 |
建設時、マーキングに使用した塩化ビニル粘着テープを除かなかったために起こった外面応力腐食割れ |
代表図 |
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機器 |
配管/管本体/SUS316L |
事例概要 |
保温されていた高温配管に洩れが生じたので保温材を剥がしたところ炭化した粘着テープが出てきて、その下に応力腐食割れが見つかった。その他の個所には割れはなく、配管内流体も非腐食性で全く損傷は見られなかった。 |
事象 |
粘着テープは塩化ビニル製で、配管施工時にマーキングのために貼られ、配管接続後、剥がすことなく、そのままその上から保温していた。割れは粘着テープの下に限られ、その他の部分には全く見られなかったので、粘着テープが原因と結論された。 塩化ビニル粘着テープを残したまま保温された配管内を高温の流体が通されたので、塩化ビニルが熱分解して塩化物イオンが生成し、これと管の残留応力および流体の内圧力による作動応力が作用して応力腐食割れを起こした。 |
原因 |
応力腐食割れ |
対策 |
他にも多数残っていた同種のマーキングを次回定修時に保温を剥がして点検し除去した。 |
知識化 |
工事の現場の整理、整頓、清掃の対象が装置に貼られた粘着テープにまで及ぶことを実感した。 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、勉学不足、製作、ハード製作、プラント建設工事、配管工事、マーキング、塩化ビニル系粘着テープ使用、完工後テープを除去せずその上から保温材施工、使用、運転・使用、機器の運転・操業、配管内高温蒸気導入、不良現象、化学現象、塩化ビニル熱分解、塩化物イオン生成、破損、破壊・損傷、応力腐食割れ
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情報源 |
北村義治、鈴木紹夫:塩化ビニルテープの熱分解による配管の外面応力腐食割れ、「防蝕技術」、p.207, 地人書館(1997)
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マルチメディアファイル |
図1.フォールトツリー図 建設時、マーキングに使用した塩化ビニル粘着テープを除かなかったために起こった外面応力腐食割れ
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図2.イベントツリー図 建設時、マーキングに使用した塩化ビニル粘着テープを除かなかったために起こった外面応力腐食割れ
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分野 |
材料
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データ作成者 |
鈴木 紹夫 (すずき技術士事務所)
小林 英男 (東京工業大学)
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