事例名称 |
圧送圧力による積載用塩酸タンクの腐食部からの破裂 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1965年06月19日 |
事例発生地 |
東京都 |
機器 |
ローリー塩酸タンク/タンク本体/ 材料:炭素鋼(6mmt)+ゴムライニング |
事例概要 |
タンクローリーで35%塩酸を運搬してきた運転手が受け入れ先の高さ10.4mの高架塩酸タンクに15HP(圧力限度4kg/cm2)のコンプレッサーを用いゲージ圧1 kg/cm2で圧送により荷下しを始めた。約半分の1.75tを送るのに要した時間(約15分)がやや長く感じられたので時間短縮のために別用途のコンプレッサー(25HP)を振り向け、圧力が1.5kg/cm2になったことを確認して約5分経過、ローリータンクが後部胴バンド部付近から真二つに破断し、残っていた塩酸約1.75tが飛散、流出し、運転手が両目に薬傷を負った。 |
事象 |
事故を起こしたタンクは使用開始後6年4ヶ月経過していた。内面のゴムライニングはほとんど劣化は認められなかったが、外面の防食塗装の施工および保守管理が不十分で、胴バンド部の破裂した個所の鋼板は6mm厚が0.5~2mmにまで帯状に全面腐食していた。 |
経過 |
強腐食性液体を運搬するタンクローリーなので、内面のライニングの保守管理は注意深くなされていた。しかし外面の防食塗装管理は全く無視され、特に固定用バンド部の下が著しく腐食し、減肉していた。この事態の危険性を認識することなく圧送のために内圧をかけたのでタンクが軸方向に破断する事態に至った。 |
原因 |
外面バンド部下の帯状全面腐食 |
対策 |
外面の防食塗装管理の徹底 |
知識化 |
強腐食性液体のハンドリングにおいては荷積み、荷下ろしの際に周辺に腐食性液や気化したガスが漏れ、外面腐食を助長することが避けられない。このため内面の防食管理以上に外面の防食塗装管理が重要となる。 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、管理不良、タンクローリー外面防食管理不良、タンクローリー固定胴バンド下の帯状腐食減肉見落とし、使用、輸送・貯蔵、濃塩酸の輸送、圧送による荷下ろし作業、時間短縮のためコンプレッサー増強、圧力上昇、破損、大規模破損、タンクローリー固定胴バンド部より真っ二つに破断、濃塩酸飛散、身体的被害、負傷、両目薬傷
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情報源 |
強酸タンクの災害事例と保安対策、防錆管理、清水一夫、vol.9, p.545(1965).
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分野 |
材料
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データ作成者 |
鈴木 紹夫 (すずき技術士事務所)
小林 英男 (東京工業大学)
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