事例名称 |
オーステナイトステンレス鋼配管のZnリッチペイントによるZn脆化割れ |
代表図 |
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機器 |
石油化学プラント/配管/SUS304, SUS316/1B~10B |
事例概要 |
配管工事終了後の水圧テスト時に溶接部での水漏れを発見したため(2,400ポイント中5ポイント)、溶接部に対する広範なカラーチェックを実施したところ多数の溶接部のパイプ外面にヘアークラックが存在することが分かった。 |
事象 |
水漏れ発見箇所のパイプ溶接部から検査用試験片を採取し、顕微鏡組織検査、EPMA・制限視野X線回折・蛍光X線検査などを実施して、パイプ外面に付着したZnリッチペイントと溶接熱による亜鉛脆化割れであることを確認した。割れ再現試験を行い、ペイント付着検出法、溶接条件/付着量と割れ深さの関係、Zn除去法、割れ補修法を確立した。市販されているステンレスパイプ外面のZn汚染レベルを確認し、その危険度を把握した。 プラント建設サイトで行われた架台など炭素鋼部材に対するZnリッチペイントのスプレーコーティング作業の際、ストレージヤードかプレファブリケーション作業エリアにあったステンレスパイプがZn汚染され、組立て溶接の熱で亜鉛脆化割れを起した。 |
原因 |
亜鉛脆化割れ |
対策 |
完成していたステンレス鋼配管を全て廃棄し、新たに購入したパイプにより配管を再度建設した。 |
知識化 |
オーステナイトステンレス鋼製の機器・塔槽・配管を使用するプラントの建設においては、Znリッチペイントのスプレーコーティング作業の実施場所・時期に対する配慮が必要である。配管材のストレージヤード、パイプのプレファブリケーション作業エリアの設定を誤ってはならない。 ステンレス鋼の亜鉛脆化割れ事故はガルバナイズド鋼でも起り、Flixborogh(英)での事故以来関係者は注意を払うようになっているが、今も事例が後を断たない。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、既製プロジェクト流用、調査・検討の不足、環境調査不足、作業環境調査不足、計画・設計、流用設計、既製システム流用、Znリッチペイント・スプレーコーティング、製作、ハード製作、オーステナイトステンレス鋼、配管工事、溶接、破損、破壊・損傷、亜鉛脆化割れ
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情報源 |
T.Shinohara&K.Matsumoto : Welding Cracks of Zn-contaminated Stainless Steel Pipe, Corrosion Science, 22, 723(1982)
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マルチメディアファイル |
図1.フォールトツリー図 オーステナイトステンレス鋼配管のZnリッチペイントによるZn脆化割れ
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図2.イベントツリー図 オーステナイトステンレス鋼配管のZnリッチペイントによるZn脆化割れ
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分野 |
材料
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データ作成者 |
篠原 孝順 (元東洋エンジニアリング(株))
小林 英男 (東京工業大学)
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