事例名称 |
ポンプ出口配管のエロージョン・コロージョン損傷 |
代表図 |
|
機器 |
φ250ヒドロスタルポンプの出口配管(FCD45鋳鉄) |
事例概要 |
(1)損傷発生配管はポンプ吐出し側直下に存在するので、液流れ(旋回流)および含有固形物によるエロージョンによって、円周方向にナイフで削ったような規則的減肉が発生している(図2)。 (2)短期間に管が著しく減肉し、貫通穴が発生して、水漏れした。平均減肉速度は17mm/年程度である。 |
事象 |
(1)ポンプ直下の液流れが乱れた部分、特にベンチュリーによる縮流地点では、含有固形物により著しいエロージョン・コロージョン損傷が発生し、短期間に貫通穴が発生したものと推定される。 (2)同様な損傷は、少量のスケールを含有する高温ボイラー水中においても経験されている。すなわち、炭素鋼配管内面がポンプ吐出し側より100mmまで、乱流により著しく減肉した。減肉は1mmピッチでさざ波状に減肉し、表面が滑らかでスケール付着がない。最大減肉速度は3mm/11年間である。なお、ポンプケーシングより100mm以降の整流部分は、減肉が少なく黒色変色し、20μm厚さの緻密なスケールが付着している。 |
経過 |
(1)ポンプ吐出し側は液乱れ(旋回流)が存在するので、配管側壁は平均流速以上に高流速が付与されている。 (2)特に、液中に固形物が存在すると、エロージョン・コロージョン損傷が発生しやすい。 (3)使用した鋳鉄は耐エロージョン・コロージョン性が劣るので、本損傷が発生したものと推測される。 |
原因 |
ポンプ吐出し側は液流れ(旋回流)が発生し、また液中に固形物が存在するので、エロージョン・コロージョンによる損傷が想定される。耐食性のないFCD45鋳鉄を使用したことが、損傷の原因である。 |
対処 |
配管材料を耐エロージョン・コロージョン性に優れたステンレス鋼に変更する。 |
知識化 |
ポンプ出口配管は流れの乱れと含有固形物量によりエロージョン・コロージョン損傷が生じやすく、注意が必要である。 |
シナリオ |
主シナリオ
|
無知、知識不足、思い込み、調査・検討の不足、環境調査不足、使用環境調査不足、材料選定の誤り、製作、ハード製作、機械・機器の製造、ポンプ出口配管、鋳鉄、破損、減肉、エロージョン・コロージョン
|
|
マルチメディアファイル |
図2.鋳鉄製ポンプ出口配管のエロージョン・コロージョン損傷
|
分野 |
材料
|
データ作成者 |
尾崎 敏範 (元(株)日立製作所)
小林 英男 (東京工業大学)
|