事例名称 |
トラッククレーンで荷をつり上げ中、旋回輪締結ボルトが破壊してクレーンが倒壊 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1989年09月 |
事例発生地 |
福岡県 |
事例発生場所 |
建設工事現場 |
機器 |
トラッククレーン |
事例概要 |
道路建設現場で、つり上げ荷重30tonのトラッククレーンで門型クレーンの部品(質量約12.4ton)をつり上げ中、運転席下部で異常音がして旋回輪取り付けボルトが破壊し、上部旋回体が下部走行体から切り離されて荷と共に落下した。 |
事象 |
トラッククレーンで部品をつり上げ時の作業半径は9.2m、ジブ角度は約62°であって、このときの定格荷重は8.1tonと推察された。旋回輪は上部旋回体が自由に旋回できるように下部走行体上に32本のボルトで取る構造になっていた。このボルトは材質がSCM435、寸法がM20xP1.5である。被災時の作業状態から、ボルトには38.4kgf/mm2 の応力が作用していたと推定されたが、この値はボルトの引っ張り強さ(80kgf/mm2)よりもかなり小さい。なお、ボルトの約半数はナットとかみ合う最初のネジ底から殆ど変形を伴わずに破断していた。また、旋回輪のボルト穴から抜け落ちているものも数本見られた。それ以外の1/3のボルトは、ネジ部が大きく変形した延性破壊であった。 |
経過 |
トラッククレーンは約8年間主に建設現場で使用されていたが、ボルトの点検や増し締め等は行っておらず、また、ボルトが抜け落ちていたことも気付かなかった。 |
原因 |
ボルトの金属組織や硬さを調べた結果、異常は認められなかった。ネジ底から破断したボルトの破面を調べた結果、いずれの破面にもビーチマークが形成されており、ボルトが疲労破壊したことが確認された。疲労破壊の原因として、旋回輪ボルトの点検は全く行っていなかったことや旋回輪から数本のボルトが抜け落ちていたことなどから、使用中にボルトの締め付け力が低下してゆるんだために、ボルトに大きな繰り返し荷重が作用するようになり、疲労破壊に至ったものと推察される。 |
対策 |
定期点検の励行 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、経験不足、製作、ハード製作、機械・機器の製造、トラッククレーン、下部走行体、旋回ベアリング、ボルト、破損、破壊・損傷、疲労、ボルト破断、使用、保守・修理、点検、点検不足、ボルトゆるみ、破損、大規模破損、クレーン倒壊
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死者数 |
1 |
分野 |
材料
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データ作成者 |
橘内 良雄 ((社)日本クレーン協会)
小林 英男 (東京工業大学)
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