事例名称 |
バイカウント機の前脚引込み着陸事故 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1957年11月20日 |
事例発生地 |
フィリピン、マニラ国際空港 |
事例発生場所 |
フィリピン航空のバイカウント748型機 |
事例概要 |
香港からマニラに向かっていたフィリピン航空のバイカウント748型機が着陸の際、前脚の固定ができず止むなく前脚引込みのまま空港に緊急着陸を行った。乗客乗員に怪我はなかった。 |
事象 |
前脚制御装置の検証の結果、脚固定ができなかったのは脚支柱の油圧継手のフォーク状端末部がはずれていたことによることが明らかとなったが(図1参照)、これは脚の緩衝用のオレオの連結部のトラニオンが破断したことによった。 調査の結果、トラニオンブロックの板厚が強度上必要な値3.5mmを40%程度下回った2.1mm程度しかない誤った設計による製品が用いられていた(図2参照)ためであることがわかった。そのため、規定の定期検査時間(1,500時間)まで持ちこたえることができず、1,100時間で破壊したものである。図2にも示すように設計変更を行った新しい部品に対しても、同じ部品番号を付けていたことにも整備上の混乱を引き起こす要因があった。 |
経過 |
トラニオンブロックの板厚が強度上必要な値3.5mmを40%程度下回った2.1mm程度しかない誤った設計による製品が用いられていた(図2参照)ため、規定の定期検査時間(1,500時間)まで持ちこたえることができず、1,100時間で破壊したものである。 |
原因 |
○ 脚の緩衝用のオレオの連結部のトラニオンが破断したため、脚支柱の油圧継手のフォーク状端末部がはずれていた。 ○ トラニオンブロックの板厚が強度上必要な値3.5mmを40%程度下回った2.1mm程度しかない誤った設計による製品が用いられていた。 ○ 設計変更を行った新しい部品に対しても、同じ部品番号を付けていたことにも整備上の混乱を引き起こす要因があった。 |
対策 |
(1) 系統的部品管理の徹底 (2) 製品検査・受入れ検査の徹底 |
知識化 |
部品形状・管理番号の系統的管理の徹底 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、設計者不注意、計画・設計、計画不良、設計不良、トラニオンブロック肉厚不足、非定常行為、変更、設計変更、使用、保守・修理、部品交換、組織運営不良、管理不良、部品番号整備不良、破損、破壊・損傷、疲労、トラニオンブロック、機能不全、ハード不良、脚固定不能、破損、大規模破損、航空機擱座
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情報源 |
図1,図2;ICAO Aircraft Accident Digest, Vol.9-55 (1959), pp. 238-240
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
マルチメディアファイル |
図1.脚支柱の油圧継手のフォーク状端末部
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図2.板厚設計ミスのトラニオンブロック
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図3.バイカウント機の前脚引込み着陸事故イベントツリー図
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図4.バイカウント機の前脚引込み着陸事故フォールトツリー図
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分野 |
材料
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データ作成者 |
寺田 博之 ((財)航空宇宙技術振興財団)
小林 英男 (東京工業大学)
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