事例名称 |
ブリストル170のクライストチャーチ上空での空中分解事故 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1957年11月21日 |
事例発生地 |
クライストチャーチ付近 |
事例発生場所 |
ストレート航空急便のブリストル170型機の右主翼 |
事例概要 |
ストレート航空急便のブリストル170型機がパラパラームからチマルへ向かう途中、クライストチャーチ(ニュージーランド)上空約600mで右主翼が疲労破壊し、空中分解しながら墜落し、4名が死亡した。同機は直前のフライト(ウッドボーンからパラパラーム)においてもエンジンの不調や機体の激しい振動を経験していた。 |
事象 |
右主翼破壊の原因は外翼前桁底部支柱の金属疲労によるものであった。疲労き裂は寿命延伸と補強のためにメーカー側からオペレータへの指示に従って主桁を補強するために加工された直径6.4mmのボルト孔から発生し伝ぱしていったものであった。疲労破壊したボルト孔付近の破断面の様子を図1に示す。 |
経過 |
機体は事故時には、製造後7,898時間飛行しており、補強作業以前に3,018時間の飛行を行っていたが、き裂の発生・破壊はその後の4,880時間の間に生じたことが明らかとなった。 これはメーカーが保証した7,400飛行時間のおよそ66%にしかならない値である。なお、大事には至らなかったものの同じ空域を飛行する同型機種にも同様な場所にフレッティングや疲労き裂の発生が認められた。 |
原因 |
(1) 強度・寿命の推定を設計・解析の上だけで実施していて実験実証を行っていなかった。 (2) 荷重の大きさ・頻度の推定に大きな誤りがあった。(クック海峡を常時飛行する航空機は設計者(英国)の想定よりも激しい突風に曝されることが多い) |
対策 |
(1) 設計条件と運用荷重の差を認識して寿命を再評価する。 (2) 設計条件を越えた環境で運用しない。 |
知識化 |
強度・耐久性評価に関する監督官庁の規制緩和には問題あり。 |
シナリオ |
主シナリオ
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誤判断、誤った理解、運用計画ミス、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然環境変化、調査・検討の不足、環境調査不足、使用環境調査不足、荷重頻度調査不足、無知、知識不足、思い込み、使用、運転・使用、航空機の操縦、過負荷、破損、破壊・損傷、疲労、翼桁の破断、破損、大規模破損、空中分解
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死者数 |
4 |
マルチメディアファイル |
図1.疲労破壊したブリストル170の右主翼前桁底部支柱のボルト孔付近の様子
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図2.ブリストル170のクライストチャーチ上空での空中分解事故イベントツリー図
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図3.ブリストル170のクライストチャーチ上空での空中分解事故フォールトツリー図
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分野 |
材料
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データ作成者 |
寺田 博之 ((財)航空宇宙技術振興財団)
小林 英男 (東京工業大学)
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