事例名称 |
ブリタニア312型機の着陸走行時の脚破壊事故 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1964年07月31日 |
事例発生地 |
カラチ国際空港 |
事例発生場所 |
ブリティッシュイーグル航空のブリタニア312型機 |
事例概要 |
ブリティッシュイーグル航空のブリタニア312型機がカラチ空港に着陸し走行中、左主脚が疲労破壊し擱座した。乗員・乗客に異常はなかった。 |
事象 |
当該機は同年1月14日に延べ4,003回の離着陸、14,299飛行時間でオーバーホールを受け、また破損した左主脚は同年6月3日に100時間毎のB整備において破壊した鍛造部品に対する超音波探傷検査が実施されており、その検査で曲率部にき裂が検出され、き裂を取り除くために0.5mmの深さの削り込みが実施されていた。事故はオーバーホール後405回目の着陸時に発生した。 図1および図2は走行中の脚折損事故の原因となった、脚を機体に結合するためのアルミ合金DTD683製の鍛造ケーシングと破壊の起点を示したものである。 |
経過 |
過去に発見されたき裂のハツリ処理の後、121回の着陸で脚が構造破壊を起こした。 |
原因 |
脚を機体に結合するためのアルミ合金DTD683製の鍛造ケーシングと破壊が脚折損を引き起した。構造破壊を起こした原因は、修理時にき裂を十分除去しなかったため拡大していった。 |
対策 |
(1) 補修・修理の際には欠陥を完全に除去すること (2) 補修・修理の後はその健全性確認のために頻繁に(超音波)検査を行うこと |
知識化 |
補修ハツリ加工は損傷部を完全に除去すること。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、工作者不注意、検査者不注意、使用、保守・修理、修復ミス、ハツリ加工ミス、使用、輸送・貯蔵、航空輸送、破損、破壊・損傷、疲労、左主脚の折損、破損、大規模破損、自力走行不能
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情報源 |
図1,図2;ICAO Aircraft Accident Digest, Vol. 16(3)-8 (1968), pp. 50-55
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
マルチメディアファイル |
図1.破壊したDTD683(アルミ合金)製鍛造ケーシング
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図2.修理不十分で疲労破壊の起点となったき裂取残し部分
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図3.ブリタニア312型機の着陸走行時の脚破壊事故イベントツリー図
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図4.ブリタニア312型機の着陸走行時の脚破壊事故フォールトツリー図
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分野 |
材料
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データ作成者 |
寺田 博之 ((財)航空宇宙技術振興財団)
小林 英男 (東京工業大学)
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