事例名称 |
トラッククレーンが旋回輪取り付けボルトの破壊により転倒 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1978年12月 |
事例発生場所 |
ビル建設現場 |
機器 |
油圧式トラッククレーン(つり上げ荷重:27トン) |
事例概要 |
ビル建設現場で,トラッククレーンで軽い荷(ベニヤ板5枚)を吊って旋回後,巻下げ操作中に旋回輪取り付けボルトが破壊して旋回体全体が転倒した. |
事象 |
この事象は,下部走行体上に旋回輪の外輪を締めつけている24本のボルト(100キロ級ハイテンボルト)の緩みが原因で,一部が脱落し,残ったボルトで転倒モーメントを支えきれずに破壊したものである.ボルトの破壊状況は,切断したもの15本,ボルトのネジ山せん断が2本,事故時には脱落して当該部位に存在しなかったか脱落寸前でボルトとして機能していなかったものが7本であった.なお,ネジ山せん断の2本及び脱落等の7本はいずれも旋回輪の後部(ジブ取付部の反対側)を締めつける位置にあったものである. |
原因 |
移動式クレーンの旋回輪の取付は,高張力ボルトによる締付が一般に採用されており,締付部分の初期なじみ等による張力の低下が避けられないため,廻り止めを設けず,一定間隔で「増し締め」を行う必要があるとされている.本事象では,作業時の引張力の増減が激しい後部側(ジブ取付部の反対側)のボルトが緩んで脱落しているものが多いことから,長時間増し締めが行われない状態で作業を繰り返したために,荷を吊った時に荷重の影響を受けやすい後部側のボルトの緩みが加速され,一部のボルトが脱落し,その結果,残ったボルトで転倒モーメントを支えられずに全ボルトの破壊に至った. |
対策 |
増し締め作業の励行 |
知識化 |
高張力ボルトによる旋回輪取り付けは一般的に採用されており,その初期なじみによる緩みも良く知られていることである.したがって,このことを如何に直接作業者に徹底させるかという点が大切である. |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、教育・訓練不足、高力ボルトの増締、不注意、注意・用心不足、作業者不注意、ボルト緩みの見落とし、使用、保守・修理、点検、日常点検不良、不良現象、機械現象、ボルトの緩み・脱落、二次災害、損壊、残ったボルトの破壊、機体の倒壊、身体的被害、死亡、事故死
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情報源 |
産業安全研究所技術資料 RIIS-TN-79-2(1980)
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死者数 |
1 |
分野 |
材料
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データ作成者 |
河島 邦寿 (元(社)日本クレーン協会)
小林 英男 (東京工業大学)
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