事例名称 |
ドラム缶入りの殺虫剤(クロロピリホスメチル)の不均一な加熱による爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1984年10月24日 |
事例発生地 |
大阪府 大阪市 |
事例発生場所 |
実験室 |
事例概要 |
1984年10月24日に大阪府の殺虫剤の中間実験室で、ドラム缶に入った殺虫剤原料(クロロピリホスメチル)を溶融するため胴体部にバンドヒーター(幅23cm)3枚を巻付け温度センサーを70℃に設定して加熱開始した。そのヒーターが部分的に設定温度を超え内容物が暴走的に分解し、33時間後に爆発した。その際、内容物が建物上部から噴出し、風(1m/s)にのり付近に拡散した。 |
事象 |
ドラム缶入りの殺虫剤原料(クロロピリホスメチル)が、不均一加熱に起因するホットスポットにより暴走反応を起こし爆発した。 |
プロセス |
研究開発(開発) |
物質 |
クロロピリホスメチル(chlorpyrifosmethyl)、図2 |
事故の種類 |
爆発、漏洩 |
経過 |
殺虫剤の中間実験室で、ドラム缶に入った殺虫剤原料を溶融するため胴体部にバンドヒーター(幅23cm)3枚を巻付け、温度センサーを70℃に設定して加熱を開始した。33時間後爆発し、内容物が建物上部から噴出、風(1m/s)にのって付近に拡散した。 |
原因 |
クロロピリホスメチルは130℃以上で分解する。そのドラム缶入りの固体を溶融するためドラム缶の胴体部にバンドヒーターを巻き加熱をした。バンドヒーターが部分的に設定温度を超えたために、内容物が暴走的分解(推定)し、爆発を起こした。 |
対策 |
加熱方法の改善 |
知識化 |
1.ホットスポットが出来るような加熱方法だと、比較的低温で熱分解する化合物は爆発する可能性がある。 2.溶融にはオイルバスを利用することにより不均一加熱が予防できる。 |
背景 |
1.ある程度の大きさの固体を均一に加熱するのは難しい。溶融した液が対流すれば均一に近く加熱されるだろうが、ましてバンドヒーターでは、ニクロム線使用のため、液側に上手く熱が伝わらないと、バンドの当たる部分が強く加熱されてしまう。言換えると伝熱の基本を理解していないか、バンドヒーターが手軽なので使用したかと推測する。 2.不均一加熱によりホットスポットができ、暴走反応を起こした。 3.クロロピリホスメチルが130℃以上で分解することを知らなかった可能性がある。 |
データベース登録の 動機 |
ドラム缶の昇温に局部加熱を行い爆発した例 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、爆発危険温度を調査しない、調査・検討の不足、仮想演習不足、加熱の偏りを考えない、使用、運転・使用、均一加熱できない、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、爆発
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情報源 |
大阪市消防局、化学災害事例集(昭和59年2月~61年12月)(1987)、p.119
田村昌三,若倉正英監修、反応危険 -事故事例と解析-、施策研究センター(1995)、p.158
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物的被害 |
ドラム缶、温度センサーなど破損 |
社会への影響 |
内容物が建物上部から噴出、風(1m/s)にのって付近に拡散 |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
吉永 淳 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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