事例名称 |
海岸線近くの配管の外面腐食による原油の漏洩 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1996年02月15日 |
事例発生地 |
神奈川県 川崎市 |
事例発生場所 |
原油受入れ基地 |
事例概要 |
1996年神奈川県の原油受入基地の屋外タンク貯蔵所付近配管から原油が漏洩した。危険物屋外タンク貯蔵所の付属配管のリモートコントロールバルブの圧抜き(エア抜き)戻り小口径配管が、海からの潮風を絶えず受け、塩分が付着した状況下で、配管の一部が水分の滞留しやすい形状であり、腐食発生したものと推定される。腐食徴候が見られた箇所の、古い塗装は剥がさず重ね塗りしたため、塗膜下で鉄錆が成長、重ね塗りのためこれに気付かず、腐食が進行し、開孔、そして原油が漏洩し海上に流出したものと思われる。 |
事象 |
原油受入基地で屋外タンク貯蔵所付近の配管から原油が漏洩し海上まで流出した。図2参照 |
プロセス |
貯蔵(液体) |
物質 |
原油(crude oil) |
事故の種類 |
漏洩、環境汚染 |
経過 |
1996年2月15日 朝8時前の定時パトロールで協力会社社員がパトロール中、桟橋付近で海面に油膜を見つけた。付近を点検し、危険物屋外タンク貯蔵所の付属配管のリモートコントロールバルブの圧抜き(エア抜き)戻り小口径配管から原油の漏洩と、それが護岸から海上へ流出しているのを確認した。 直ちに計器室へ連絡した。計器室の係員は関連バルブの閉鎖を行うとともに、関連部署へ連絡した。 直ちに土嚢積みを開始した。 なお、当該配管は1982年5月に設置し、発災まで約13年8ヶ月使用していた。 |
原因 |
1.海岸線近くの小口径配管の長期使用による外面腐食である。当該部分が開孔したのは、配管に海水がかかりやすい部分があり、そこに水分が溜まり腐食しやすい構造になっていたこと。 2.配管塗装の際古い塗膜を完全に剥がさずにそのまま重ね塗りされていたため、腐食の進行を目視で確認ができなかった。 3.なお、小口径配管は配管厚みが薄いため開孔し易い。 |
対処 |
1.漏洩に関連するバルブの閉止 2.周辺に土嚢積み 3.オイルフェンス展帳 4.油着マット、油処理剤により海上に流出した油の処理 |
対策 |
1.腐食個所の点検、防食塗装法などの管理体制の徹底 2.ねじ込み部の点検の徹底 |
知識化 |
海岸線近くの配管、中でも小口径の分岐配管は外面腐食をもっとも受けやすいものの一つである。一般的な配管以上に注意を払う必要がある。日本の製油所、オイルターミナル、石化コンビナートなど海岸線立地が多いので、深刻な問題である。 |
背景 |
発災当時は既に海岸線近くの配管の外面腐食は話題になっていた。当然、点検と必要に応じての補修がなされていてしかるべきだ。好意的に考えれば、点検スケジュールの関係で順番が遅れていたための不幸な事故であり、別の見方をすれば、怠慢である。どちらかは不明である。 |
データベース登録の 動機 |
海岸線近くの配管の外面腐食の例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、不注意、注意・用心不足、点検不良、製作、ハード製作、配管工事、使用、保守・修理、塗装方法不良、破損、減肉、海水によるエロージョン、二次災害、損壊、漏洩
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情報源 |
川崎市消防局予防部保安課、川崎市コンビナート安全対策委員会資料(1996)
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社会への影響 |
海上に45L漏洩し岸壁から奥行き15m・幅200mにわたり海上に飛散 |
マルチメディアファイル |
図2.漏洩箇所図
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
吉永 淳 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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