事例名称 |
畜舎内貯蔵生石灰に水、発熱,全焼 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1989年04月25日 |
事例発生地 |
青森県 下北郡 川内町 |
事例発生場所 |
倉庫 |
事例概要 |
コンクリート床に直接、生石灰を積み重ね貯蔵し,隣接して薪を積み重ねていた。生石灰包装材の破損部で薪と接触し薪の水分と反応,または前日来の降雨の漏水と反応し発熱(推定)した。薪部分から出火し牛舎を全焼した。なお、当施設は、消防法上、無許可貯蔵所だった。 |
事象 |
倉庫付牛舎内の倉庫部分に、牧草地土壌改良に使用するため購入した生石灰(20kg*70袋)及び硫安などの肥料(110袋)が貯蔵されていた。貯蔵方法は、コンクリート床に直接積重ねてあった。隣接して薪が胸高に積まれていた。その状態から発火し、倉庫兼畜舎が全焼した。 |
プロセス |
貯蔵(固体) |
化学反応式 |
図3.化学反応式1
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物質 |
生石灰(lime)、図4 |
事故の種類 |
火災 |
経過 |
薪部分が発火し、さらに建物へ延焼拡大し、建築面積、326m2延面積490m2、鉄骨一部木造2階建の倉庫付牛舎を全焼した。 |
原因 |
生石灰を倉庫に貯蔵するため搬入した際、生石灰の包装材が破損して薪と接触し、薪の水分と反応して発熱したか、又は前日来の降雨が屋根から漏り、生石灰と反応し発熱して発火したかの何れかと推定された。発熱に至る反応式を図3に示す。 |
対策 |
生石灰を床に直置きすることは水と触れやすくなり危険である。パレットを敷いて、その上に置くようにすべきである。また、雨水が掛からないようにする。また、十分な放熱構造とするよう配慮が必要である。 |
知識化 |
1.生石灰が雨水等と反応して、発熱、火災になる例は時々起こっている。生石灰は、1988年以前は消防法危険物であったが、現在は、非危険物である。しかし、火災危険性が減ったわけではないので、取扱い上の注意は同じでなければならない。 2.貯蔵にあっては、床への直置きは水に触れやすく避ける。 |
背景 |
1.生石灰は、水や空気中の水分と反応して徐々に温度が上昇し、ついには、近くの可燃物を発火させた。 2.生石灰の特質を理解しないで保管・管理を行ったことが基本要因であると推測される。 |
よもやま話 |
一般消費者に、生石灰と水が反応して熱を持つ等の、化学物質と水や空気との接触が危険な状態を引き起こす事を理解させることは、難しいが行わねばならない。それ以上に難しいのは、どの様な状態なら危険かを判断させ、理解させることであろう。販売したところが責任を持って指導することが必要ではないか。 |
データベース登録の 動機 |
吸湿からの発熱による生石灰の火災の例 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、勉学・経験とも不足、計画・設計、計画不良、レイアウト計画不良、使用、輸送・貯蔵、貯蔵環境悪い、不良現象、化学現象、発熱、二次災害、損壊、火災、組織の損失、経済的損失
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例-平成元年(1990)、p.31、348-349
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物的被害 |
鉄骨造一部木造2階建て倉庫付牛舎全焼.親牛8頭焼死.生石灰被害. |
被害金額 |
1361万円(危険物に係る事故事例) |
マルチメディアファイル |
図2.生石灰貯蔵状況図
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図4.化学式
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備考 |
生石灰が消防法上危険物からはずれたのは、一般的な危険性の判断基準が変わったためと理解される。 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
古積 博 (独立行政法人消防研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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