事例名称 |
輪転機の乾燥装置における印刷インキの火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1989年07月24日 |
事例発生地 |
神奈川県 相模原市 |
事例発生場所 |
印刷工場 |
事例概要 |
4ユニット(印刷機と乾燥機で1ユニット)が連続する輪転印刷機で,印刷の1工程が終わり紙を継ぎ足した時,引きローラーに隙間が生じた。そのため、印刷再開時に紙が十分巻き取られず輪転機内でたるみ,インキ皿に浸ったため,乾燥機内ヒーター部にインキがボタ落ちして,高温ヒーターの放射熱により出火した。 |
事象 |
インクが印刷機の乾燥機付近に落ち、それが乾燥機のヒーターで加熱されて発火した。インク220Lが焼損した。通常の印刷インクは可燃物で、消防法上の危険物第4類第二石油類に指定されている。 |
プロセス |
使用 |
物質 |
印刷インキ |
事故の種類 |
火災 |
経過 |
1. 輪転印刷機で一巻きの紙が終了したので、次の紙を継ぎ足した。 2. 引きローラーに隙間を生じたため、印刷再開した時に紙がインク皿に浸った。 3. 余分な印刷インキが印刷機の乾燥機部に入ったとき、インキがボタ漏れして、インキが過熱されて燃えた。 |
原因 |
紙の継ぎ足しの時に、紙が弛みインキを吸い込んだ。そのインキが乾燥機内に落下し、乾燥機の放射熱で発火した。 |
対策 |
1.印刷装置に何らかの欠陥があった可能性があるため、改良が必要である。 2.同時に、従業員が危険物を扱っているという認識を持つ必要もあろう。 |
知識化 |
インキはガソリンや灯油のように直ぐに危険物とは分からない可能性があるが、トルエンを多量に含む危険物である。従業員(含む工場幹部)が危険物を扱っているという認識を持つ必要がある。 |
背景 |
1.インキの溶剤は主にトルエンであり、インキもトルエン同様の注意が必要である。このことを意識して作業していたか疑問がある。言い換えると、危険物を扱っていることに対する教育・訓練が不足していたと推測される。 2.紙が弛んでもインキ皿に入らないような設備の改善や方法をとることができれば問題は起こらない。機械の構造に危険物を扱うのに不都合があった可能性が考えられる。 |
データベース登録の 動機 |
取扱い物質が危険物であるとの意識を持っていない例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、無知、知識不足、勉学不足、組織運営不良、管理不良、管理の緩み、使用、運転・使用、機械の運転・操縦、定常操作、手順不遵守、確認作業なし、不良現象、化学現象、燃焼、二次災害、損壊、火災、組織の損失、経済的損失、直接損害額4500万円
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例-平成元年(1990)、p.33、266-267
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物的被害 |
工場内120平方m(輪転印刷機,空調機器,屋根裏部分)焼損.インキ220L焼失. |
被害金額 |
4500万円(危険物に係る事故事例) |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
古積 博 (独立行政法人消防研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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