事例名称 |
倉庫外壁の火気工事の熱による内側に貼り付けた難燃処理ウレタンフォームの爆燃・火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1977年05月13日 |
事例発生地 |
東京都 江東区 |
事例発生場所 |
倉庫 |
事例概要 |
溶接機で倉庫外壁の穴開けをしていたが,鋼材が肉厚であったため長時間あぶられ、その熱で外壁の内張のポリウレタンフォームが分解し、余熱で発火した。可燃物がある場所での火気使用作業での作業基準を定め,消火設備を強化することとした。なお、倉庫管理者はメーカーカタログと自分たちの簡単なテスト結果から、ウレタンフォームはどんな場合でもくすぶる程度と考えていたが、実際は違っていた。 |
事象 |
アセチレン溶断器により倉庫上方の穴あけ作業中、内壁のウレタンフォームに着火し炎上した。 |
プロセス |
使用 |
物質 |
ポリウレタン(polyurethane)、図2 |
事故の種類 |
爆発・火災 |
経過 |
1977年1月 倉庫内面に硬質発泡ポリウレタンを吹付けて定温貯蔵倉庫に改造した。 5月 さらに断熱扉の取り付け工事を行った。そのためアセチレン溶断器により、ボルト孔を開ける工事に入った。なかなか開孔しないため20分程度鉄骨を加熱した。14時20分頃 鉄骨が赤くなったので、おかしいと思い開放部から中を見たら1m四方くらいから火が出ていた。(中に何か詰まっていると赤くなる現象が起こる。) それに引き続き3回の爆燃が起こった。 |
原因 |
穴開けをしていた鋼材が肉厚であったため、長時間あぶられたポリウレタンフォームが分解し、余熱で発火した。 |
対処 |
注水消火 |
対策 |
可燃物近傍での溶接作業のマニュアル等を整備する。 消火システムを強化する。 |
知識化 |
作業者に対する燃焼危険に関する教育の必要性 |
背景 |
1.倉庫の管理者はポリウレタンが難燃性であり、燃えても自己消火性があるとのメーカーカタログと、自分たちの簡単なテスト結果から、どんな状態でも燃えても焦げる程度と信じていた。ところが、長時間の加熱で分解し燃えやすくなっていた。ポリウレタンフォームの火災はかなり多いにも拘わらず実際の燃焼危険性の認識がなかった。状況の判断ミスであろう。 2.基本的には、倉庫内部が可燃性素材で覆われていた。その可燃性素材が貼り付けられている外壁を溶接で穴あけを行った。 |
データベース登録の 動機 |
可燃物の近傍での火気使用に伴う典型的事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、運営の硬直化、情報連絡不足、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、不注意、注意・用心不足、見えない所に意識が行かない、計画・設計、計画不良、工事計画不良、不良現象、化学現象、熱分解、二次災害、損壊、火災、身体的被害、負傷、21名負傷、組織の損失、経済的損失、倉庫1棟損傷
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情報源 |
東京消防庁、S運輸倉庫爆燃火災に関する調査報告書(1977)
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負傷者数 |
21 |
物的被害 |
2階建倉庫1階337平方m・2階63平方m焼損.事務所外壁6平方m.米200トン焼損、430トン水損 |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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備考 |
改修 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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