事例名称 |
ゲルマンガス充填容器の爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1984年11月26日 |
事例発生地 |
神奈川県 川崎市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
ゲルマンガスのボンベをトラックから荷下ろし中に爆発した。性状のほとんど知られていないゲルマンガスの分解爆発であった。ボンベ入りのガスを輸入する場合,ガスの性状のみでなく,ボンベ自体の腐食や耐用年数などにも配慮すべきである。 |
事象 |
貨物自動車からゲルマンボンベを降ろしているときに、ボンベが突然爆発した。図2参照 |
プロセス |
輸送(輸送機関) |
物質 |
ゲルマン(germane)、図3 |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
1984年3月24日 ボンベ再検査 8月 9日 ゲルマン充填 10月 3日 ニューヨーク発 11月 9日 大井埠頭着 11月21日 通関手続き 11月26日 工場へ搬入途中で爆発 |
原因 |
ゲルマンが分解して爆発し、ボンベが破裂したものと推定された。 |
対策 |
1.輸入先からの安全対策の指示等をきちんと遵守する。 2.新規ガスについては安全性評価をきちんと行う。 |
知識化 |
分解爆発性のある輸入ガスなどは輸出国の基準にあっていても、それが必ずしも輸入国において適正とはいえない場合もある。 |
背景 |
1.ゲルマンは米国からからの輸入品だが性状がほとんど分かっておらず、取り扱い基準なども全くなかった。 2.事故後に判明したことであるが、ゲルマンは大気圧以下の圧力でもエネルギーを与えると分解爆発を起こすことが確認された。 3.高圧ガス保安協会の報告書によれば、ゲルマンが爆発分解を起こした原因が、腐食劣化した、しかもグランドパッキンが老化して緩みやすくなった容器弁を使用したことにあるか、一部液化した状態で運搬したことにあるのか不明だが、専用の容器ではなく、製作後20年以上たったもので、かつ過去数年以上の使用経歴不明の容器に充填されたものを輸入したことが主原因の一つと考えられる。 |
後日談 |
証言について:瀕死の重傷を受けると、当日の記憶が途絶えることがある。 現在ではたとえボンベの内部で分解爆発を起こしても、圧力がボンベの耐圧試験圧力以下に抑えられるように充填ガス量は規制されている。 |
よもやま話 |
☆ 目撃証言「ガチャをはずし容器を立てかけようとしたとき爆発」 |
データベース登録の 動機 |
物質の危険性の認識が欠如していた事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、新規輸入ガスへの調査不足、調査・検討の不足、事前検討不足、海外情報や輸入業者情報、使用、輸送・貯蔵、破損、大規模破損、破裂・爆発、二次災害、損壊、隣接家屋等の破損、身体的被害、負傷、重傷2名
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情報源 |
高圧ガス保安協会、特殊材料ガス容器事故調査報告書(1985)
上原陽一、小川輝繁編、防火防爆対策技術ハンドブック 9、半導体関連事故、テクノシステム(1998)、p.54
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負傷者数 |
2 |
物的被害 |
容器本体は4片に割れ,110~200mの範囲に飛散.2tトラックの運転台,窓,屋根の破損大,座席約45m飛ぶ.隣接倉庫木製壁,ガラスの破損大.約20m離れた川崎工場等3社の窓ガラス破損.80m遠方の保育園の窓ガラスひび割れ. |
マルチメディアファイル |
図2.容器図
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図3.化学式
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備考 |
定常作業 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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