事例名称 |
製油所の重油タンクの残留油分によるタンク補修工事中の火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1984年06月04日 |
事例発生地 |
神奈川県 横浜市 |
事例発生場所 |
製油所 |
事例概要 |
製油所の重油タンクの屋根を溶断後火炎が発生した。 いったん消火した火炎が再燃し、消防へ通報した。溶断前に洗浄を行ったが、鉄骨や屋根部の錆スケール内に思わぬ量の油分が付着していた。施設管理者と改修事業者の間での、安全作業に関する認識の相違や情報の伝達不足が考えられる。 |
事象 |
製油所の重油タンクを大気開放して改造工事を行っていた。タンクの屋根の一部を溶断した。その後に火災発生した。いったん消火したが、再燃した。 |
プロセス |
貯蔵(液体) |
物質 |
重油(fuel oil) |
事故の種類 |
火災 |
経過 |
1984年5月7日~6月1日 ヒーティングコイル交換のため、タンクを空にして、清掃を行った。 6月4日11:25 重油タンクの屋根の一部を溶断した。 11:40 溶断後に火炎が発生した。 12:18 いったん消火したが、火炎が再燃し、消防へ通報した。 14:21 泡消火による消火活動を終了した。 |
原因 |
タンクの開放前に洗浄を行ったが、鉄骨や屋根部の錆スケール内に思わぬ量の油分が付着していた。 |
対策 |
1.火気使用工事には請負側工事責任者が立ち会う。 2.火気使用工事や重要工事は会社側が責任をもって行うか、委託する場合責任者を置く。 3.工事終了後は十分な時間をとって会社側、請負側責任者が安全を確認する。 4.工事前の燃焼危険物の排除を徹底する。 |
知識化 |
保守などでは請負側が危険個所、物質危険を把握していないことが多いので、請負側への危険情報の伝達、安全確認を適正に行う。 |
背景 |
1.火気使用工事前の危険物の排除が不十分だった。 2.消火の確認が十分にできなかった。 |
よもやま話 |
☆ タンク上部の鉄骨や天板まで油を満たすことはない。軽質油なら昼間に蒸発した油が夜間凝縮して思いがけないところに浸み込む。重油でも同じような現象が起こったのだろうか。もし、重油タンクの開放検査時にこのような事故が起こったのが初めてなら、まさに教訓的である。 |
データベース登録の 動機 |
可燃物の近傍での火気使用に伴う典型的事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、運営の硬直化、情報連絡不足、不注意、理解不足、リスク認識不足、計画・設計、計画不良、洗浄計画不良、使用、保守・修理、解体、不良行為、規則違反、安全規則違反、不良現象、化学現象、燃焼、二次災害、損壊、火災
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情報源 |
高圧ガス保安協会、石油精製及び石油化学装置事故事例集(1995)、p.81-83
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物的被害 |
タンク屋根塗装一部剥離 |
備考 |
清掃 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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