事例名称 |
空気液化分離装置で液体酸素中の炭化水素除去用フィルター切換時の内部液抜出用配管の爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1984年07月15日 |
事例発生地 |
神奈川県 川崎市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
液体酸素フィルタ定期切り替えのため液体酸素抜き作業中で、前夜 フィルタに液体酸素を張り込み、液体酸素抜き後、窒素加圧で残存液体酸素を液送中に火災が起こった。抜き出し配管の不具合により、再生操作で抜き出された炭化水素などが滞留し、それと液体酸素が反応したと推測された。 |
事象 |
空気液化分離装置には液体酸素中の炭化水素不純物を吸着除去するシリカゲル含有フィルターが2基設置されている。そのうち1基の再生処理中に再生用窒素ガスのフィルターからの抜き出し用配管底部で爆発が起こった。なお、フィルターは2基を1月単位で交互に使用していた。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
分離 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
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物質 |
酸素(oxygen)、図3 |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
フィルタの定期的な再生作業のため液抜き作業を行っていた。 1984年7月14日21:00 炭化水素捕集用 フィルターAに液体酸素を張り込み、生産ラインに組み込んだ。 15日11:30 炭化水素捕集用フィルターBを生産ラインから切り離して、下部のバルブを開放して液体酸素の抜き取りを開始した。 12:45 再生ラインのバルブを全開し、フィルターBに加圧窒素を送気して液を圧送した。 21:30 温度点検を行った。-191℃であった。 22:52 発災した。 |
原因 |
再生操作で脱離された炭化水素などは、酸素の液抜き配管を使って、系外に排出される。その時炭化水素などが、出口配管のU字管水平部に残っている液に溶解する。その後炭化水素など不純物を溶解した液は徐々に蒸発していくが、炭化水素などは蒸発せずに濃縮する。その濃縮された不純物とフィルター切換に抜き出された液体酸素あるいは酸素富化空気とが、何らかの着火源で爆発した可能性が推測される。 |
対策 |
1.再生ガス排気配管を液体の滞留しにくい配管構造とする。 2.配管の分離を行う。 3.液体酸素の抜き取りを確認する 4.再生用窒素の流量確認をする。 など |
知識化 |
液体酸素の製造や取り扱いでは可燃物との接触による事故が多い。 酸素(特に液体酸素)と可燃物との接触がないようにし、工程上やむを得ない場合は点火源の管理を徹底する。 |
背景 |
フィルタから再生用窒素をパージするための配管ラインにフィルタ捕集物(炭化水素)が溜まりやすい部分があった。そのため液体酸素、または酸素富化空気とフィルタで捕集された不純物が接触する可能性が生じた。また、炭化水素などの不純物抜き出し配管と液体酸素の抜き出し配管を共通とした設計であったことも要因の一つだろう。 |
よもやま話 |
☆ 液体酸素、純酸素、酸素富化空気の危険は事故から認識できる。 |
データベース登録の 動機 |
液体酸素による典型的な事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、仮想演習不足、運転状況の想定せず、価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、計画・設計、計画不良、設計不良、使用、運転・使用、パージ、不良現象、化学現象、酸化、二次災害、損壊、爆発
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情報源 |
高圧ガス保安協会、石油精製及び石油化学装置事故事例集(1995)、p.156-162
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物的被害 |
液体酸素フィルター系外抜出配管変形,温度計検出端. |
マルチメディアファイル |
図3.化学式
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備考 |
(部品の)定期交換 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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