事例名称 |
パージ不十分による連続抽出機の点検作業中の爆発・火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1991年12月22日 |
事例発生地 |
大阪府 泉佐野市 |
事例発生場所 |
食品工場 |
事例概要 |
抽出装置の抽出機が故障した。機内に入って修理するため、抽出装置の換気を開始した。不十分な換気だったため、ヘキサン蒸気が可燃性混合気となって残った。機内に入り作業を開始したとき、静電気により爆発が起こった。抽出機に限らず、容器内に立入る場合は、可燃性ガスや蒸気濃度の検知や、酸素濃度の確認などをして安全の確保をはかることが最低条件である。 |
事象 |
ヘキサン抽出装置の抽出機が故障した。修理のため換気後に抽出機内に入り、作業開始したら、爆発が起こった。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
設備保全 |
物質 |
ヘキサン(hexane)、図3 |
事故の種類 |
爆発・火災 |
経過 |
1991年12月21日22:00 抽出機が故障した。 22日10:00 修理を開始した。 13:10 抽出機内に立ち入るため、抽出機内のヘキサンの換気を開始した。 14:00 抽出機内で作業開始とともに爆発が起こった。 |
原因 |
中途半端な換気のため、タンク内のヘキサン蒸気が可燃性混合気を形成し、静電気により着火、爆発した。図2参照 |
対処 |
注水消火 |
対策 |
1.形骸化したマニュアルの見直し 2.休日などの責任者不在時における緊急時の対応見直し 3.上記した対策よりも、会社全体、工場の全員が軽質可燃物という危険な物質を大量に扱っている、何時も危険な状態にあることを理解すると言った意識改革が本当の対策だろう。 |
知識化 |
1.危険個所であるのに慣れによる安全マニュアルの形骸化、無許可での作業を行っているように見える。 2.しばらくの間、同様の事故がなかったことで、過去の事故の教訓が記憶から消失している。 安全確保の第一歩は過去の経験を生かすことにある。 |
背景 |
ノルマルヘキサンという軽質の炭化水素を取扱っており、非常に危険な状況にあるという意識が欠けているように見える。 1.規定通りの換気時間を守らなかった。作業マニュアルの無視である。 2.休日作業で上司の許可を得なかった。 |
よもやま話 |
☆ 抽出機、遠心分離機などで、開放点検時の換気不十分による爆発事故が多い。何故だろうか。 |
データベース登録の 動機 |
軽質可燃物取扱い装置の大気開放時に、可燃物のパージが不十分で発災した典型例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、管理の緩み、慣れ、不注意、注意・用心不足、マンネリ、計画・設計、計画不良、パージ計画が不良、不良行為、規則違反、安全規則違反、二次災害、損壊、爆発・火災、身体的被害、死亡、8名死亡、身体的被害、負傷、組織の損失、経済的損失、直接損害額4700万円
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情報源 |
高圧ガス保安協会、高圧ガス保安総覧(1992)、p.249-250、254
川崎市危険物安全研究会、今すぐ役に立つ 危険物施設の事故事例集(FTA付)(1997)、p.14-16
泉佐野市消防本部、F社H工場爆発事故概要(1991)
消防庁、危険物に係わる事故事例-平成3年(1992)、p.32、92-95
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死者数 |
8 |
負傷者数 |
1 |
物的被害 |
C工場で抽出機内焼破損,熱交換器とフローコンベア破損,脱溶剤機変形,吸収塔の流量計焼溶,蒸留塔の保温破損,ポンプ焼焦.B工場で外壁焼破損.くん蒸倉庫の屋根破損.指定可燃物屋外タンク貯蔵所の保温材等破損.H工場の1-2工場と計量室と工作室被害.沿岸事務所の窓ガラス等破損.ノルマルヘキサン8600L,流動パラフィン1500L,動植物油類3000L,油粕3910L被害. |
被害金額 |
4675万円(危険物に係る事故事例) |
マルチメディアファイル |
図2.FTA
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図3.化学式
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備考 |
修理 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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