事例名称 |
廃水貯槽の脱臭用吸着塔からの火災 |
代表図 |
|
事例発生日付 |
1992年09月19日 |
事例発生地 |
千葉県 茂原市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
塗料用樹脂製造装置の廃水貯槽で火災が発生した。廃水から発生する有機性ガスを吸収する活性炭を吸着材とする吸着塔で活性炭が蓄熱発火した。それが廃水貯槽内の可燃性ガスに着火したものである。吸着塔内を不活性雰囲気にしておく、廃水貯槽内のガス濃度を検知するなどの対策が必要である。 |
事象 |
塗料用樹脂製造装置の廃水貯槽の上部気相のガスが着火し、火災になった。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
廃水・廃油処理 |
単位工程フロー |
図2.装置図
|
物質 |
ブタノール(butanol)、図3 |
事故の種類 |
火災 |
経過 |
1992年9月18日 廃水貯槽の排気脱臭用の吸着塔2基の内1基の活性炭の交換を行った。 19日15:18 廃水貯水槽で火災発生 16:01 鎮火 |
原因 |
吸着塔の活性炭が吸着熱で発火し、廃水タンク内の可燃性ガスに着火した。 |
対処 |
上部破損の廃水タンクの臭気対策 |
対策 |
1.活性炭の取り扱い基準の強化 2.廃水貯槽の窒素シール化 3.ガス検知の実施 4.廃水貯槽通気管にフレームアレスター設置 5.廃水貯槽の小型化 |
知識化 |
吸着は発熱反応であり、活性炭の様な可燃性の吸着材を使用するときは、吸着による発熱、酸素存在下での酸化などに十分に注意する必要がある。 |
背景 |
1.微量の有機溶剤を含有する廃水を単なる水と誤認識し、長期に渡る使用期間中に貯槽気相部の可燃性ガス濃度の増加を考慮しなかった。受入れ廃水の組成と温度からでは放散された可燃性ガスは燃焼範囲に入らないが、廃水貯槽が大きすぎて、長期蓄積されている間に、廃水中の有機溶剤と廃水が2相分離して蒸気相濃度を上げた。 2.吸着は発熱反応であり、活性炭が可燃物であることを忘れて管理されている。交換後の新品の吸着剤は吸着能が高く、高温になることがある。 |
よもやま話 |
☆ 活性炭、微量有機物含有廃水の危険性に対する無知 |
データベース登録の 動機 |
吸着熱による典型的な事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
|
価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、運営の硬直化、教育・訓練不足、調査・検討の不足、仮想演習不足、想像力不足、計画・設計、計画不良、設計不良、使用、運転・使用、プロセス廃水、運転中にガスの蓄積、不良現象、化学現象、発熱・発火、二次災害、損壊、火災、組織の損失、経済的損失、直接損害額2300万円
|
|
情報源 |
高圧ガス保安協会、高圧ガス保安総覧(1993)、p.277
|
物的被害 |
廃水貯槽天板捲れ.配管類,隣接バッファータンク天板(シート部分)損傷. |
被害金額 |
約2300万円(石油精製及び石油化学装置事故事例集) |
マルチメディアファイル |
図3.化学式
|
備考 |
定常操作 |
分野 |
化学物質・プラント
|
データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
|