事例名称 |
塩素酸カリウムを含む煙火の自然発火 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1943年06月13日 |
事例発生地 |
神奈川県 横浜市 |
事例発生場所 |
火薬工場 |
事例概要 |
黄色色火剤の半製品が貯留中に自然発火して、同じ貯蔵庫に貯留していた緑色色火剤とともに爆燃した。塩素酸カリウムと塩基性染料のオーラミンとの混合物が吸湿したため自然発火したものと推定される。 |
事象 |
緑色色火剤と黄色色火剤の半製品を貯留していた貯留庫で白煙が発生し、貯留物が爆燃した。 |
プロセス |
貯蔵(固体) |
物質 |
塩素酸カリウム(potassium chlorate)、図2 |
オーラミン(auramine)、図3 |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
緑色色火剤と黄色色火剤の半製品を一時的に貯留していた貯留庫で白煙が発生し、貯留物が爆燃した。その6日後に別の貯留庫で白煙が発し、黄色色火剤の圧搾体の入った箱が燃焼していた。 |
原因 |
塩素酸カリウムと塩基性染料のオーラミンの混合物が吸湿して自然発火したものと推定される。 |
対策 |
1.塩素酸カリウムを過塩素酸カリウムに変更する。塩基性染料のオーラミンを使用しない。 2.製品、半製品の吸湿を防止する措置を行う。 |
知識化 |
1.非常に危険性の高い物質の使用を禁止する。 2.自然発火危険性のある物質の貯蔵の管理を厳格にする。 |
背景 |
1.発火危険性の高い酸化剤である塩素酸カリウムを使用していた。発火危険性が高いことについての検討不足であろう。 2.製品、半製品の保管環境の管理の不備があった。 |
よもやま話 |
☆ 1943年の余りにも古い事故例であるが、基本操作が守られずに発災した事例として採用した。 |
データベース登録の 動機 |
半製品の安易な保管が自然発火に結びつく例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、調査・検討の不足、事前検討不足、カリウム塩の発火性危険の検討不足、無知、知識不足、経験不足、計画・設計、計画不良、保管計画不良、使用、輸送・貯蔵、貯蔵環境不備、不良現象、化学現象、自然発火、二次災害、損壊、爆発・火災
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情報源 |
日本火災学会化学火災委員会、化学火災事例集(2)(1974)、p.132-133
田村昌三,若倉正英監修、反応危険 -事故事例と解析-、施策研究センター(1995)、p.116
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マルチメディアファイル |
図2.化学式
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図3.化学式
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備考 |
死傷者不明 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小川 輝繁 (横浜国立大学大学院 工学研究院 機能の創生部門)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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