事例名称 |
2,2'-ジニトロジフェニルアミンの同伴不純物との異常反応による蒸留槽の破裂 |
代表図 |
|
事例発生日付 |
1964年07月22日 |
事例発生地 |
千葉県 市川市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
粗製2,2'-ジニトロジフェニルアミンをステンレス製蒸留槽で蒸留中に破裂が起こった。前工程のアルカリ洗浄後の水洗浄が不十分なため水酸化ナトリウムが残存していた。その水酸化ナトリウムにより、蒸留中に予期しない反応が起こり、槽内温度が異常上昇を始めた。加熱を中止したが、冷却器と蓋が破裂して、内容物が黄色の霧状となって飛散した。 |
事象 |
粗製2,2'-ジニトロジフェニルアミンをステンレス製蒸留槽で蒸留中、槽内温度が異常上昇を始めた。加熱を中止したが、冷却器と蓋が破裂して、内容物が黄色の霧状となって飛散した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
蒸留・蒸発 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
|
物質 |
2,2'-ジニトロジフェニルアミン(2,2'-dinitrodiphenylamine)、図3 |
事故の種類 |
破裂、漏洩 |
経過 |
粗製2,2'-ジニトロジフェニルアミンをステンレス製蒸留槽で蒸留中、槽内温度が130℃になってから異常上昇を始め、200℃まで上昇したのを確認した。このため、加熱を中止し、外部より観察しているうち、冷却器と蓋が破裂して、内容物が黄色の霧状となって飛散した。 |
原因 |
粗製2,2’-ジニトロジフェニルアミンには、アルカリ洗浄後の水洗浄が不十分のため水酸化ナトリウムが残存していた。蒸留中に予期しない水酸化のトリウムとの反応が起こり、温度の異常上昇が起こったと推定される。 |
対策 |
1.作業マニュアルの整備 2.運転技術・異常時対応の教育・訓練 |
知識化 |
1.蒸留では不純物が異常反応を引き起こすことがある。 2.水洗浄は溶解のため、溶解平衡分は除去しきれない。要求される濃度を明解にして工夫する必要がある。 |
背景 |
水洗浄は溶解分離であり、完全に目的物を除去するには、多段洗浄など技術的に工夫する必要がある。水洗浄の設計と管理が不十分ではないかと推測される。 |
データベース登録の 動機 |
製品を精製する蒸留工程で不純物が反応して事故となった例 |
シナリオ |
主シナリオ
|
価値観不良、安全意識不良、安全教育・訓練不足、不注意、理解不足、リスク認識不良、計画・設計、計画不良、設計不良、定常動作、不注意動作、洗浄不十分、不良現象、化学現象、異常反応、破損、大規模破損、破裂
|
|
情報源 |
田村昌三,若倉正英監修、反応危険 -事故事例と解析-、施策研究センター(1995)、p.162
|
被害金額 |
29000円 |
マルチメディアファイル |
図3.化学式
|
分野 |
化学物質・プラント
|
データ作成者 |
小川 輝繁 (横浜国立大学大学院 工学研究院 機能の創生部門)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
|