事例名称 |
煙火製造所の爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1992年06月16日 |
事例発生地 |
茨城県 守谷町 |
事例発生場所 |
花火工場 |
事例概要 |
1992年6月16日 煙火製造工場で倉庫や薬品庫に存置されていた多量の火薬類が爆発し、工場内で死亡3名、負傷58名、工場15棟全焼、工場外での民家631棟被災他の大惨事となった。発火の原因は確定されていないが、火薬庫以外の非危険区域の倉庫に存置されていた火薬類が倉庫のシャッターの上げ下げによる衝撃や摩擦によって発火した、あるいは反応熱の蓄熱、静電気などによる発火の可能性がある。 |
事象 |
煙火製造工場で爆発事故が起こり、死亡3名、負傷58名、工場15棟全焼、付近の民家631棟被災、車両等の全焼18台、部分破損20台の大災害となった。また、工場敷地内には大小15個の漏斗孔が生じた。図2参照 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
その他 |
物質 |
火薬(explosive) |
事故の種類 |
爆発・火災 |
経過 |
1992年6月16日 作業員2名が仕込造形工室で玉込作業をしていた。他の作業員が雑品倉庫で何らかの作業をしていた可能性があるが、当人が死亡したため、確認できない。その雑品倉庫付近に白い煙が立ち込め、しばらくしてから第1回目の爆発が起こったとの証言がある。その後大量に保管してあった煙火等の火薬類が次々爆発し、大きな惨事となった。 |
原因 |
事故の引き金となった発火原因は特定できないが、以下の可能性が考えられる。 1.雑品倉庫に存置されていた、あるいは作業中に床等にこぼれた火薬類が倉庫のシャッターの上げ下ろしの衝撃や摩擦によって発火。 2.火薬類の吸湿による反応促進効果に伴う蓄熱、あるいは静電気等による発火。 この発火に伴う小規模な燃焼、爆発により薬品庫、雑品庫に多量に存置していた火薬類および原材料に着火し、大きな爆発となったと考えられる。 |
対策 |
1.煙火工場の製造保安マニュアルの整備と、煙火製造事業者、製造作業従事者に対する保安教育 2.立ち入り検査の強化 |
知識化 |
1.煙火組成物は多くは鋭感であり、取り扱いには細心の注意が必要である。 2.煙火のような火薬も大量爆発すると爆薬のような強力な破壊力をもつ。 |
背景 |
1.多量の火薬類を法律上の”危険区域外で火薬類を存置してはならない”倉庫に存置していた。 2.火薬類および火薬の原材料の不適切な管理があった。 3.その背景には煙火の需要は夏に集中するため、需要期前には多量の煙火を存置せざるを得ないことや管理が不十分になることが挙げられる。 |
後日談 |
この事故で当該煙火製造会社は再建不能で倒産した。 |
データベース登録の 動機 |
敷地内に火薬類のような爆発物を多量に保管していたため大惨事となった事例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、管理の緩み、使用、輸送・貯蔵、ルーズな保管、不良行為、規則違反、法律違反、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、死亡、3名死亡、身体的被害、負傷、58名負傷、組織の損失、社会的損失、倒産、社会の被害、社会機能不全、半径2km以内大被害
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情報源 |
平成4年重大災害の概要、安全年鑑、PAGE222
高圧ガス及び火薬類保安審議会火薬部会火薬類事故調査分科会(茨城県煙火事故調査委員会)、茨城県北相馬郡守谷町で発生した煙火製造所における事故に関する調査報告書(1992)
高圧ガス保安協会編、高圧ガス保安総覧(1993)、p.275
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死者数 |
3 |
負傷者数 |
58 |
物的被害 |
工場を中心に半径約2kmに被害.工場15棟全焼,日乾場2施設全壊.付近民家家屋16棟全焼,7棟全壊,50棟半壊,窓ガラス破損等部分壊558棟.車両全焼18台,部分破損20台.電話ケーブル焼損で234回線不通. |
社会への影響 |
電話ケーブル焼損で234回線不通. |
マルチメディアファイル |
図2.煙火火薬庫写真
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小川 輝繁 (横浜国立大学大学院 工学研究院 機能の創生部門)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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