失敗事例

事例名称 電気炉での水漏れによる水蒸気爆発
代表図
事例発生日付 1992年06月06日
事例発生地 香川県 高松市
事例発生場所 製鉄所
事例概要 電気炉に金属スクラップを投入し、溶解した。電気炉壁に設けられた水枠が何らかの原因で溶損し、漏水を起こし水蒸気爆発が起こった。
事象 電気炉で金属スクラップを溶解中に水蒸気爆発が起こった。電気炉壁に設けられた水枠が溶損して穴があき,漏れた水が溶鋼と溶滓の間に入り水蒸気爆発になった。熱風や溶鋼などが飛散して,周囲の可燃物に着火,従業員2名が重傷,4名が軽傷を負った。
水枠:水冷却を行う鉄製のジャケット
プロセス 製造
単位工程 その他
物質 鉄(iron)、図2
事故の種類 爆発・火災
経過 1. 電気炉に金属スクラップを投入し,溶解が完了した。
2. 水枠が溶損し穴があき、漏水した。
3. 洩れた水が溶鋼と溶滓の間に入り水蒸気爆発した。
4. 爆風が起こり、溶鋼の飛散が起こった。
5. 周囲の可燃物に着火した。
原因 水枠の溶損。
対処 1.負傷者の搬送。
2.粉末消火器で消火。
対策 1.水枠溶損原因の排除。
2.漏水の早期発見。
知識化 金属の溶解したものは常に高温である。このことを前提に水回りの設計・管理を考えなければならない。
背景 自動酸素送入パイプが水枠に接近し,酸素によって水枠の鋼板がスカーフィング(溶削)された可能性がある。設計上のミスの可能性か、検査の見落としがあったものと推測される。
データベース登録の
動機
特殊な原因による水枠の破損例
シナリオ
主シナリオ 価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、不注意、理解不足、リスク認識不足、計画・設計、計画不良、設計不良、使用、運転・使用、機械の運転・操縦、破損、大規模破損、溶削、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、負傷、重傷4,軽傷2、組織の損失、経済的損失、直接損害額1000万円
情報源 消防庁、危険物に係る事故事例-平成4年(1993)、p.31,422-423
負傷者数 6
物的被害 電気炉破損.電気炉周囲の建物,収容物が飛散物で焼損,破損.溶鋼被害.
被害金額 1060万円(危険物に係る事故事例)
マルチメディアファイル 図2.化学式
備考 水蒸気爆発
分野 化学物質・プラント
データ作成者 和田 有司 (独立行政法人産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 開発安全工学研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)