失敗事例

事例名称 輪転印刷機において静電気除去装置の劣化で静電気による印刷インクの引火
代表図
事例発生日付 1989年10月11日
事例発生地 埼玉県 行田市
事例発生場所 印刷工場
事例概要 1989年10月11日 グラビア印刷の多連輪転印刷機の2色目のインクパンより出火した。自己放電式静電気除去装置の劣化を放置し印刷したことにより、静電気の火花が印刷インクに引火したものと推定される。
事象 グラビア輪転印刷機において印刷中、2色目ユニットのインクパン内から出火した。
プロセス 使用
物質 印刷インク
事故の種類 火災
経過 1989年10月11日09:55頃 グラビア輪転印刷機にて印刷を開始した。
10:28 2色目ユニットのインクパン内から出火した。
11:05 鎮火を確認した。
原因 自己放電式静電気除去装置の劣化により、静電気の火花が印刷インクの可燃性蒸気に引火したものと推定される。図2参照
対処 印刷機2基を停止し、泡消火器及び二酸化炭素消火器を使用して消火に当たった。
対策 静電気の電圧測定装置の設置及び電圧測定の励行指導
知識化 静電気除去装置のみでなく、装置作動チェックの電圧測定装置の設置及び電圧測定が必要である。
背景 インク溶剤が引火性危険物で軽質炭化水素であるトルエンであることを忘れていたか、それともトルエンの取扱いを理解していなかったことが主要因であろう。そのため、静電気除去装置が劣化しても平然と運転する、あるいはさせるといった設備管理の問題も主要因であろう。
データベース登録の
動機
静電気除去装置の劣化による火災事故例
シナリオ
主シナリオ 価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、管理の緩み、無知、知識不足、考えたくない、不良行為、規則違反、安全規則違反、不良現象、電気故障、静電気除去装置故障、二次災害、損壊、火災、組織の損失、経済的損失、直接損害額1600万円
情報源 消防庁、危険物に係る事故事例-平成元年(1990)、p.35、226-227
物的被害 グラビア輪転印刷機及びダクト一部焼損,印刷インキ約100リットル焼損.
被害金額 1552万円(危険物に係る事故事例)
マルチメディアファイル 図2.事故発生要因図
分野 化学物質・プラント
データ作成者 土橋 律 (東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)