事例名称 |
油圧モーターの作動試験中、ドレンホースの破損による作動油の火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1992年12月07日 |
事例発生地 |
山口県 田布施町 |
事例発生場所 |
機械工場 |
事例概要 |
1992年12月7日 機械工場で油圧モーターの作動試験中、モーター内部の部品が故障し、内圧10.0MPaGがドレンホースにかかった。ドレンホースは平常運転圧1.0MPaG破壊圧4.0MPaGのため破損し、内部の油圧油が漏れ火災となった。 故障時の各所に掛かる想定圧を予期して対策を講じておくべきであった。 |
事象 |
油圧モーターの作動試験中に油圧モーター内部の部品が破損し、圧力10.0MPaG程度の油圧がドレンホースに流入した。ドレンホースが破損して作動油が噴出して火災に至った。火災によって、床面積、140平方mの鉄骨ブロック造平屋建て建築物内の油圧発生装置一式が全焼し、重傷者3名、軽傷者1名が発生した。図2参照 |
プロセス |
使用 |
物質 |
作動油(hydraulic oil) |
事故の種類 |
漏洩、火災 |
経過 |
1992年12月7日 午前中に圧力20.0MPaG、毎分1,600回転で作動試験を行い、午後から試験を再開した。 13:15 徐々に圧力を上げていく途中の圧力10.0MPaGでドレンホースが破損して、噴出した作動油が引火して火災になった。床面積140平方mの鉄骨ブロック造平屋建て建築物内の油圧発生装置一式が全焼し、重傷者3名、軽傷者1名が発生した。 14:00 鎮火を確認した。 |
原因 |
1.主原因: 故障 2.着火原因: 不明 油圧モーターの作動試験中に、モーター内部で部品の破損による故障が生じ設計圧力0.2MPaGのドレンラインに10.0MPaG程度の圧油が流入した。常用1.0MPaG(最小破壊圧力4.0MPaG)用の耐油ゴムホースが破損して、作動油が噴出した。噴出した作動油は霧状となり、何らかの火源によって着火し、爆発的に燃焼して火災に至った。 |
対策 |
1.緊急停止装置について、より広範囲の事態に対応できるものとする。 2.予防規程を見直し、作業者の火災予防に対する認識を深める。 直接的な対策ではないが、この事故の場合、油圧モーター内部の部品が破損した場合に、ドレンラインに設計圧力を超えた圧力がかかるおそれがあることを予期できれば、事故を防止し、または、被害を最小限に抑えることができた。技術レベルを高め、十分な安全対策を用意することが最も重要な対策と考える。 |
知識化 |
1.テスト計画に於いては、十分な事故想定が必要である。 2.実際に試験を実施する場合は、特に事前の十分な安全対策の立案をし、実地での確認をすることが重要である。 |
背景 |
1.設計ないし完成検査計画の不適切が真の要因であろう。 2.作動試験中であるからには各種の故障を想定し、故障が発生しても事故にならないようにする義務があると思われる。午前中の運転で20.0MPaGの圧力で問題を起こさなかったので、安心したのかも知らない。 3.何故ドレンホースに圧がかかったのか?通常ならドレンバルブがあり、それを閉めておけば問題はなかったのでないか。(データ不足で判断出来ない。) |
データベース登録の 動機 |
油圧モーター内部破損による火災事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、管理の緩み、慣れ、不注意、注意・用心不足、マンネリ、計画・設計、計画不良、試験計画不良、不良現象、機械現象、故障、定常操作、誤操作、バルブ閉止なし、破損、破壊・損傷、二次災害、損壊、漏洩・火災、身体的被害、負傷、4名負傷、組織の損失、経済的損失、直接損害額6300万円
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例-平成4年(1993)、p.33、416-417
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負傷者数 |
4 |
物的被害 |
ディーゼルエンジン,油圧ポンプ等の油圧発生装置一式及び試験用油圧モーター及び負荷用油圧モーターが全焼.重油1200L,作動油2500Lの一部が延焼及び流出. |
被害金額 |
6300万円(危険物に係る事故事例) |
マルチメディアファイル |
図2.機器概要図
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
土橋 律 (東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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