事例名称 |
定期修理中における誤操作で電気ヒーターの過熱による火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1994年11月14日 |
事例発生地 |
神奈川県 川崎市 |
事例発生場所 |
製油所 |
事例概要 |
1994年11月14日、定期修理期間のエチレンイミン製造装置で、空のタンクのヒーターを加熱して、破損し、熱媒が漏れ、火災が起きた。加熱すべきタンクの指示間違えと、定期修理中でヒーターの異常温度上昇防止のシステムが作動しなかった。装置が停まっているので異常現象はない、と思いこんでいたようでがあるが、実際は熱媒体油があり、ヒーターを活かしていた。 |
事象 |
エチレンイミン製造装置の定期修理中、保温用ヒーターの操作を誤り、空の加熱器の電気ヒーターに通電し、電気ヒーターが過熱して破損した。熱媒体のナイター(硝酸ナトリウムなどの混合液)が漏洩し火災となった。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
設備保全 |
物質 |
硝酸塩(nitrate) |
事故の種類 |
漏洩、火災 |
経過 |
1994年10月14日 エチレンイミン製造装置の定期改修のため運転を停止した。 10月25日 反応器や加熱器内などのナイターを貯槽に抜き出し、貯槽と配管を保温するため温度管理ヒーターのスイッチを入れた。 11月12日08:00頃 電気工事のため、指示書の通り温度管理ヒータースイッチを切った。 13日16:30 停電復旧後、指示書の通り温度管理ヒーターのスイッチを入れ復旧の指示をした。この時、指示書の機器番号が誤って記載された。 20:50頃 指示された機器番号の温度管理ヒーターのスイッチを入れた。 21:35以後 幾つかの温度計の温度異常を知らせるアラームが出た。 14日03:53 ヒーターの異常を知らせる警報が出た。この時に、空のタンクのヒーターが破損したと推定される。 04:23 公道の通行人が火災を発見した。 04:33 119番通報をした。 05:28 鎮火の確認をした。 |
原因 |
操作すべきヒーターの指示書の機器番号が誤っていた。そのため空の加熱器のヒーターが投入されて過熱し、破損した。ナイターが漏洩し火災になった。加熱器の異常温度上昇防止回路はヒーター電源と別回路となっており、また、定期整備のため切られ、ヒーター電源を誤投入したときには機能していなかった。 |
対策 |
1.作業の確認の徹底。オペレーターもシステム全体を把握。安全計装系の見直し。 2.教育、特に作業の理由(know why)の充実 |
知識化 |
1.定期修理時は加熱作業などを行わないのが通常である。定期修理中に特殊な作業を行う場合は、2重3重のチェックが必要である。 2.安全計装系の機能は、独立系とし、通常操業時以外でもできるだけ動作させておく。 |
背景 |
1.作業の指示のミスがあった。番号が類似していたため、指示者が誤記に気付かなかった。 2.指示書には機器番号と機器名称が記され、スイッチにも番号と名称が記されていた。作業員が機器名称の照合をしないで、番号だけで確認した。 3.作業員は作業の内容、装置の状況を理由を理解していなかったと思われる。したがって、機器番号だけを鵜呑みにして作業をしたと考えられる。 4.何故、ヒーターの使用開始前に温度異常上昇防止装置をスタートさせなかったのか基本操作の無視があったと推測する。 5.警報が鳴っているにも拘わらず、適切な処置をしていない。定期修理中のため、異常発生を想定していない。そのために温度監視業務も行っていなかった。定期修理中でも、一部機器が生きている認識がなかった。 |
よもやま話 |
☆ 文書化された指示の誤りが修正されることはあまり期待できないので、作成する際には細心の注意を要する。 |
データベース登録の 動機 |
定期修理中の特殊作業での事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、チェック機能なし、不注意、注意・用心不足、中途半端な指示、使用、運転・使用、ヒーター通電開始、非定常動作、状況変化時動作、確認せずに動作、破損、大規模破損、破裂、二次災害、損壊、漏洩・火災
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情報源 |
高圧ガス保安協会、高圧ガス保安総覧(1996)、p.260-261
川崎市消防局予防部保安課、川崎市コンビナート安全対策委員会資料(1995)
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物的被害 |
ナイター加熱器1基、ケーブル等 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
板垣 晴彦 (独立行政法人産業安全研究所 化学安全研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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