事例名称 |
火力発電所ガスタービン発電機の燃料供給配管からの軽油の漏洩 |
代表図 |
|
事例発生日付 |
1997年07月07日 |
事例発生地 |
神奈川県 川崎市 |
事例発生場所 |
火力発電所 |
事例概要 |
1997年7月7日、ガスタービンの燃料配管工事を終了し、ガスタービン発電機の運転を開始した。燃料油圧低下アラームがなり、燃料油の供給が自動停止しガスタービンが停止した。燃料油配管フランジのガスケットが破損し軽油が漏れていた。燃料油配管工事に並行して配管工事が行われており、耐圧の小さいガスケットを間違って装着したのが原因であった。 |
事象 |
火力発電所でガスタービン発電機を平常運転中、燃料配管のフランジ部から軽油約40Lが周囲約10mに漏洩飛散した。図2参照 |
プロセス |
使用 |
物質 |
軽油(gas oil) |
事故の種類 |
漏洩 |
経過 |
1997年4月7日 ガスタービン燃焼器とオイルクーラーの工事が同時に行われていた。 ガスタービンは燃料軽油噴霧配管のガスケット交換と水噴霧配管のガスケット交換、オイルクーラーは空冷式熱交換器のガスケット交換であった。 下請けの班長は水噴射配管担当の作業員にガスケット取り付けを指示して、現場を離れた。元請けの監督は現場にいなかった。作業員は軽油噴霧配管のガスケットを取り付けた。 7月7日 ガスタービン発電機の運転を開始した。 7月7日15:43 通常運転中に燃料油の圧力低下の警報が鳴動し、ガスタービンが自動停止した。 15:46 現場で燃料油の漏れを発見した。 16:13 119番通報した。 16:25 燃料供給配管の仕切り弁を閉止して処置を完了した。 |
原因 |
1.燃料油配管(6.0MPaG)のフランジには石綿シートパッキンを使用するところ、誤ってゴムシートパッキン(仕様1.0MPaG)を使用したまま運転したため、使用圧力に耐えられなくなりガスケットが破損した。 2.工事が同時並行しており、3種類のガスケットが混在していたにもかかわらず、整理されていなかった。 3.作業員はガスケットの取り付けの知識はあるが、ガスケットの選択の知識はなかった。使用するガスケットを指示されなかったので、適当に選んで使用した。 |
対処 |
遮断弁を閉止。燃料供給を停止。119番通報。仕切り弁を閉止。 |
対策 |
工事管理体制の確立が最優先であろう。 1.発注者側作業員の安全教育。 2.消耗部品の分類と管理。 3.元請、下請け作業員の安全教育。 |
知識化 |
2つ以上の作業を同時並行して行うのは、非常に間違いやすく出来れば避けるべきである。どうしても同時並行で行う必要があるなら、十分な間違い防止策を取る必要がある。 どうしても同時並行で行う必要があるなら、十分な間違い防止対策を取る必要がある。 |
背景 |
1.工事管理のミスと考えられる。同一箇所で2つ以上の工事を行うときは、明確に資材を分離し、作業手順を定めなければならないが、これを怠っていた。 2.本来指示を出すべき元請けの監督なり、下請けの班長が使用するガスケットを指示しなかった。慣れた工事で緊張感の欠如が感じられる。 3.発注者側も本来の製品の質に関係ないとして、元請けに任せきりであった。工事の結果は全て発注者側に返ってくることを考えれば、工事管理システムの確立は発注者側の仕事である。 |
データベース登録の 動機 |
同時並行作業の失敗例 |
シナリオ |
主シナリオ
|
組織運営不良、管理不良、管理の緩み、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、計画・設計、計画不良、工事管理計画不良、使用、保守・修理、修復、破損、破壊・損傷、ガスケット洩れ、二次災害、損壊、火災
|
|
情報源 |
川崎市消防局予防部保安課、川崎市コンビナート安全対策委員会資料(1997)
|
物的被害 |
軽油約40L |
マルチメディアファイル |
図2.機器配置図
|
分野 |
化学物質・プラント
|
データ作成者 |
板垣 晴彦 (独立行政法人産業安全研究所 化学安全研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
|