失敗事例

事例名称 地震による重油タンク側板減肉部の亀裂で重油の流出
代表図
事例発生日付 1980年09月25日
事例発生地 神奈川県 川崎市
事例発生場所 セメント工場
事例概要 千葉中部地震によりタンクが座屈し、側板の開口部から重油が流出した。実際は地震がなくとも何年後かには座屈か漏洩を起こすような腐食と応力集中があった。
事象 1980年9月25日、マグニチュード6.1の千葉中部地震により貯蔵タンクのドレンノズル付近上部の側板が内部に向かって2か所で座屈し、うち1か所が開口したため、重油11.5kLが流出した。
プロセス 貯蔵(液体)
物質 重油(fuel oil)
事故の種類 漏洩
経過 1957年 貯蔵タンクを設置した。
1980年9月25日 地震により重油タンクの側板に生じた開口部から重油が流出した。
原因 ドレンノズル付近の側板の直下がドレンノズル用ピットのコンクリートで局部的に支持されており、応力が集中した。タンクは設置から20年以上が経過し側板が外面腐食により板厚4.5mmのものが0.6~2.0mmまで減肉していた。図2参照
対策 1.定期的に測定器を使用して肉厚を測定する。
2.コンクリート製ドレンピットを有する類似タンクで応力集中がかかっていないか点検する。
知識化 1.腐食が外面腐食であっても表面に凸凹があるので減肉の程度は目視ではわかりにくい。
2.自然災害とはいえ、事前の地盤調査や緊急時の対応についての検討は欠かせない。
背景 管理の不十分が問題であろう。地震は発災時期を早め、漏洩量を大きくした。
よもやま話 ☆ 地震災害と一口に言うが、被害に遭ったものは何か別の原因もあることが多そうだ。
データベース登録の
動機
管理不十分なうえに地震が追い打ちした例
シナリオ
主シナリオ 価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、管理の緩み、不注意、理解不足、リスク認識不足、使用、保守・修理、点検不足、破損、減肉、腐食、破損、変形、タンク座屈、二次災害、環境破壊、海上汚染
情報源 亀井浅道(安全工学協会編)、火災爆発事故事例集、コロナ社(2002)、p.172-179
危険物事故対策研究会、図解・危険物事故の原因と対策、全国加除法令出版(1985)、p.33-34
物的被害 タンク測板座屈、貯油約11.5kL漏洩
マルチメディアファイル 図2.座屈状況図
分野 化学物質・プラント
データ作成者 板垣 晴彦 (独立行政法人産業安全研究所 化学安全研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)