事例名称 |
空気圧縮機吐出の高圧空気配管の爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1983年10月03日 |
事例発生地 |
愛知県 名古屋市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
1983年10月3日、空気分離装置の空気圧縮機吐出にある約10MPaの空気配管の曲り部が突然爆発した。温度が最大161℃と高温になったことと配管の鉄さび、および潤滑油が原因である。 |
事象 |
ガス会社の液体酸素、窒素、アルゴン製造装置の空気液化分離装置において、約10MPaの圧縮空気冷却配管の曲管部が破裂し、付近にいた4名が吹き飛ばされて負傷した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
仕込 |
単位工程フロー |
図3.単位工程フロー
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物質 |
空気(air) |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
1983年10月3日09:10 平常運転中の圧縮機の各段の圧力を点検したところ異常はなく、油水分離器のドレンを排出した。 09:20頃 約10MPa、154℃の圧縮空気の空気冷却パイプ(直径9cm)の曲管部14ヶ所が破裂し、黒煙が立ち込めた。緊急停止操作をした。 |
原因 |
1.圧縮空気の配管内でコンプレッサー油が酸化鉄粉などにしみ込み、3段吐出スナッパーの点検口部で発火して火炎が伝播、さらに配管内で油膜爆ごう、あるいはすす爆ごうを生じたとみられる。 2.事故後の実験によると、新油の熱分析による発熱開始温度は227℃であったが、アルミナと酸化鉄の混合粉に染み込ませ、10MPa、164℃で保持したところ、11分後に発火した。 3.吐出温度は事故当日の9時では154℃、過去の最高温度は161℃であった。 4.吐出系と冷却配管の内部洗浄は1974年が最後であった。 |
対処 |
緊急ボタンにより運転を緊急停止。 |
対策 |
1.吐出空気温度の過熱防止。 2.配管系内の潤滑油などの滞留防止。 3.過度の給油を避ける。 |
知識化 |
高圧空気は強力な酸化力を持っている。潤滑油を酸化させたり、鉄粉を酸化させたりする。高圧空気配管は酸素配管と同等に配管内を清浄に保つ必要がある。 |
背景 |
1.高圧空気圧縮機の基本が守られていない。設計者および運転管理者とも空気圧縮機に対する知識が不足している。 2.高圧空気は強力な酸化剤であり、潤滑油の選定、吐出温度、配管の清浄度など守るべき事項は多い。 |
よもやま話 |
☆ 高圧空気による爆発事故例は古くから多数ある。圧縮機の吐出温度は140℃以下にする(Gulf Publishing Co., 「What Went Wrong?」)など守るべき事は多い。 |
データベース登録の 動機 |
高圧空気による事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、情報連絡不足、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、計画・設計、計画不良、設計不良、使用、運転・使用、清掃不十分、不良現象、化学現象、酸化反応、二次災害、損壊、爆発・破裂、身体的被害、負傷、4名負傷
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情報源 |
駒宮功額(安全工学協会編)、火災爆発事故事例集、コロナ社(1985)、p.207-211
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負傷者数 |
4 |
物的被害 |
3段冷却配管破裂、3段吐出しスナッバー内部仕切り板やノズル離脱・変形.電気配線、計装等被害.工場のスレート120枚。ガレージ一部破損。アスファルト舗装66平方mはく離・飛散. |
マルチメディアファイル |
図2.配管の爆裂状況写真
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備考 |
WLP関連教材 ・化学プラントユニットプロセスの安全/移送 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
板垣 晴彦 (独立行政法人産業安全研究所 化学安全研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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