事例名称 |
隣接タンク工事の火花による米軍覆土式地下石油タンクの火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1981年10月13日 |
事例発生地 |
神奈川県 横浜市 |
事例発生場所 |
米軍施設 |
事例概要 |
覆土式地下石油タンク通気管の出口近くで、隣接タンクの火気使用工事が行われていた。その火花によって通気管内の蒸気が引火し、3万2500kLの米軍タンクの全面タンク火災となったが、鎮火まで約4時間で済んだ。米軍施設のため安全管理が不徹底であった可能性が大きい(施設の使用者は米軍、工事管理は防衛施設庁、作業は民間企業)。通常は、国内法が適用されないため米軍の安全管理規定のみ適用される。 |
事象 |
米軍のジェット燃料の3万2500kL覆土式タンクが、隣接箇所の工事に引火して全面タンク火災になった。 |
プロセス |
貯蔵(液体) |
物質 |
ジェット燃料(jet fuel) |
事故の種類 |
火災 |
経過 |
米軍基地内の事故で、詳細な経過は不明である。タンクは旧日本軍のタンクを接収して使用していた古いものである。また事故当日は、隣接するタンク内部で老朽箇所の点検が行われており、電気器具が使用されていた。事故は突然起こった。 |
原因 |
隣接タンクの工事火花(溶接機等)が当該タンクの通気管から生じていた蒸気に引火し、通気管を経由してタンク火災になった可能性がある。 |
対処 |
米軍及び公設消防 |
対策 |
1.米軍施設対策(使用者は米軍、工事管理者は防衛施設庁、工事は民間業者)、 2.工事中の火気管理を徹底する。 |
知識化 |
工事中の火気による火災は多い。覆土式タンクは安全ではあるが、通気管は地上付近にあり、より危険となる場合もある。 |
背景 |
工事中の火気管理の不徹底が基本要因と推定する。米軍、防衛施設庁がマニュアル作成などまで要求していたとは思えない。 |
後日談 |
火災からの放射熱測定及び推定が公設消防によってなされた。 |
よもやま話 |
☆ 米軍施設の火災は、日本の行政権が及ばないため対応が極めて難しいが、比較的短時間での消火ができた。覆土式タンクは、安全な上、消火活動も容易であることが確認できた。ただ、通気管が地上付近にあり、生じる可燃性蒸気に引火しないよう火気管理が必要である。 |
データベース登録の 動機 |
安全と考えられている覆土式タンクでも通気管は盲点で、火事を呼んだ例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、組織運営不良、運営の硬直化、情報連絡不足、不注意、注意・用心不足、作業管理者不注意、計画・設計、計画不良、工事計画不良、非定常行為、無為、安全確認なし、不良現象、化学現象、燃焼、二次災害、損壊、火災(タンク内へ延焼)、身体的被害、負傷、9名負傷、組織の損失、経済的損失、社会の被害、社会機能不全
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情報源 |
清久淑人、伊佐詔征、安全工学、Vol.23(No.4)、p.227-234(1984)
横浜市消防訓練センター研究開発課、月刊消防、No.73、p.42-53(1985)
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
5 |
物的被害 |
円筒型覆土式タンク1基と上部の天蓋(コンクリート製)と覆土を破損(横浜市消防局による). 周辺家屋等の破損474件(化学火災委員会資料による). |
社会への影響 |
横浜市消防局が紫町、長浜町の住民約900人に避難命令、体育館などに一時避難. |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
古積 博 (独立行政法人消防研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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