事例名称 |
自衛隊覆土式地下石油タンクの大気開放時の火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1992年07月13日 |
事例発生地 |
北海道 旭川市 |
事例発生場所 |
自衛隊施設 |
事例概要 |
自衛隊の覆土式タンクでの大気開放での清掃開始時に、作業者がタンクに入る時に火災が起こった。液抜き、ガス抜き、空気置換の工程のどこかで齟齬がありガソリン蒸気が残っていた。作業環境の安全管理は設備管理側の責務であろうが、手抜きがあった可能性がある。 |
事象 |
自衛隊の覆土式タンクでタンク内清掃工事を行おうとした。タンク内蒸気の抜き取り後に、タンク内に入ろうとして、マンホールを開けた時に火災が起こり、4名が負傷した。 |
プロセス |
貯蔵(液体) |
物質 |
ガソリン(gasoline) |
事故の種類 |
火災 |
経過 |
1972年7月1日 当該タンクのガソリンを隣接タンクに移した。 13日午前 タンク上部マンホールを開とし、蒸気抜き作業に入った。 午後 ガス抜きと並行してスラッジ除去を行うため、作業員4名が隧道(トンネル)に入った。さらにタンク側壁のマンホールを開けた。 この時、タンクから強烈なガソリン臭がしたので避難したが、間に合わずに4名とも火傷を負った。 |
原因 |
除去不十分で残っていたガソリンの噴出による引火爆発である。火源としては、コードリールのコンセント、プラグの破損等が考えられる。蒸気抜きと並行して、内部に入ってスラッジ除去と報告書には書いてあるが、並行して行ってはならない作業を行った。なお、覆土式タンクのため、側壁マンホールへの接近は隧道経由になる。そのため、逃げ道は一本道のため、全員が火傷を負ったと推定する。 |
対処 |
自衛隊及び公設消防 |
対策 |
内部開放のときは、十分に可燃性液体及び可燃性蒸気を除去後にマンホールを開放すべきである。十分に除去したことの確認はガス検知器などにより行う必要がある。作業は民間業者が行っているが、作業環境の安全管理は設備管理者の責務であるので、設備管理者は十分な注意のもとに管理を行うことが必要である。同様に作業員への安全教育が重要である。 |
知識化 |
工事中の火気による火災は多い。自衛隊施設のため工事時の安全管理が不徹底であった可能性が大きい。施設の使用者は自衛隊、工事管理は防衛施設庁、作業は民間企業である。この種の作業は、さらに下請に任せていたものと思われる。ガス抜き作業では、ガス検知器を使って濃度を確認する必要がある。それ以前にタンク、特に地下タンクからは液を完全に抜き出すことの難しさを理解することが重要である。 |
背景 |
1.事故発生原因に記したように、蒸気抜きとタンク内作業を並行して行ってはならない。まして電気設備は非防爆である。蒸気抜きをしていることは、未だ内部に蒸気、あるいは蒸気を発生する液体が残っていることを示している。このような作業を工事業者だけで判断することは通常はあり得ない。設備の管理者側が安全確認をして、作業着手指示を出すと考えられる。設備管理側の状況把握が最大の問題ではないだろうか。 2.蒸気抜きについて技術的観点から見ると、蒸気抜きの不十分というよりは、液抜が完全には出来ないことが理解されていないのであろう。ドレン弁より下の部分は液が残るし、フランジなどの隙間や行止まり配管等にも残る。これらの残液が完全に除去されることは非常に難しい。 |
よもやま話 |
☆ 覆土式タンクは安全といわれているが、メンテナンス時は事故が起こる可能性がある。ガス抜きといった作業は手抜きされやすい。 |
データベース登録の 動機 |
覆土式地下石油タンクでの可燃性蒸気の完全抜き取りが難しいために起こった火災例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、無知、知識不足、勉学不足、計画・設計、計画不良、パージ計画不良、不良行為、規則違反、安全規則違反、二次災害、損壊、火災、身体的被害、負傷、4名負傷
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例-平成4年(1993)、p.152-154
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
4 |
被害金額 |
50万円(消防庁による) |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
古積 博 (独立行政法人消防研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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