事例名称 |
貯蔵中の肉骨粉が雨水により発酵し自然発火 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2001年12月03日 |
事例発生地 |
鹿児島県 鹿児島市 |
事例発生場所 |
倉庫 |
事例概要 |
肉骨粉を大量に、長期間貯蔵していた倉庫で火災が起こった。肉骨粉が貯蔵中に雨水により発酵、蓄熱により火災になった。狂牛病の発病は続いているが、一応、肉骨粉の貯蔵による火災危険のピークは過ぎた。 |
事象 |
肉骨粉が長期貯蔵中に発酵し、蓄熱して燃焼し、さらに倉庫が火災にになった。大量、長期保管を余儀なくされたのは、BSE問題により使用を禁止されたためであろう。 |
プロセス |
貯蔵(固体) |
物質 |
肉骨粉(meat_and_bone_meal) |
事故の種類 |
火災 |
経過 |
1. 肉骨粉1000トンを合成樹脂を編んだ袋(500kg~1トン)に入れ、3ヶ月保管した。 2. 早朝に出社した社員が窓越しに倉庫を見ると、赤いものがちらほらし、煙が充満していた。 3. 消防に通報した。 |
原因 |
大量に保管された肉骨粉のうち、水が浸透した肉骨粉だけが燃えていた。屋根に亀裂があり、数日前にも雨が降った。以上の状況から、貯蔵されていた肉骨粉が雨水に触れて発酵、大量貯蔵の影響もあり、長時間経過後に、蓄熱し自然発火した。 |
対処 |
火災時、従業員は不在、公設消防によって消火 |
対策 |
肉骨粉は水により発酵するので、倉庫に保管する時は、水に濡らさない対策が重要である。具体的には雨漏りを防止する、適当な見回りをすることが必要であろう。発酵すると悪臭を発するので、見回り時には臭いに注意する。 |
知識化 |
肉骨粉を含むゴミ等は適切な水分があると発酵し熱を持つ。少しずつの発熱でも大量にあれば蓄熱し、自然発火する。油ぼろの自然発火と同じである。したがって、大量に貯蔵するときは、その温度管理、雨水対策には十分注意する必要がある。また、肉骨粉製造直後は、温度が高く、かつ、反応性も高いので冷却した後保管すべきである。 |
背景 |
大量に貯蔵された肉骨粉が、水濡れにより徐々に酸化、発酵によって温度上昇し、蓄熱、自然発火して火災となった。発酵する可能性や、大量貯蔵では蓄熱しやすいことなどが理解されず、十分な管理がなされていなかったと思われる。 |
後日談 |
民事裁判中(建物構造に問題)。元々は別な用途に使っていた倉庫が急遽転用された。2003年現在、消防研で火災原因に関連して検証実験中である。 |
よもやま話 |
2000年12月の鹿児島での肉骨粉の倉庫の火災後、消防研が実験を行い、また、注意を喚起するため消防庁、農水省通達が本火災発生の約1ヶ月前に出ていたが、役に立たなかった。 |
当事者ヒアリング |
消防研資料 |
データベース登録の 動機 |
狂牛病(BSE)騒動のため大量の肉骨粉が処理されずに大量貯蔵され、自然発火した例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、無知、知識不足、勉学・経験とも不足、計画・設計、計画不良、転用計画、不良現象、化学現象、発熱、二次災害、損壊、火災、組織の損失、経済的損失、倉庫焼損他
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情報源 |
岩田雄策、肉骨粉の貯蔵所(鹿児島県)で発生した火災に関する聞き取り調査(2002)
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
鉄骨平屋建て倉庫内肉骨粉一部焼損 |
備考 |
肉骨粉の発酵による自然引火を原因とする火災。肉骨粉の悪臭以外は環境影響はない。 |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
古積 博 (独立行政法人消防研究所)
吉永 淳 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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