事例名称 |
廃油再生工場における蒸留用タンクの火災・爆発 |
代表図 |
|
事例発生日付 |
1983年07月29日 |
事例発生地 |
大阪府 大阪市 |
事例発生場所 |
廃油再生工場 |
事例概要 |
廃油を蒸留して製品とする工場で、蒸留を中断した。再開したところで、受槽から白煙を生じ、蒸留用加熱タンクからもガスが漏れだして発火した。周囲に置かれた廃油などのドラム缶に引火した。ドラム缶は加熱されて内圧が上がり、火を噴きながら飛散した。廃棄物の多くは安全に関する法律の適用外であり、業者に安全に関する意識が薄い。特に可燃性廃棄物の管理については自主保安と同時に行政の指導も必要である |
事象 |
各種廃油を受け入れて、ろ過、蒸留して再生油に加工する工場で、蒸留操作中に受槽から白煙が噴出し、シンナー臭がした。さらに、蒸留用の加熱タンク下部からも白煙を生じた。点検作業中に爆発が起こり、さらに近くの不法貯蔵していた廃油ドラム缶が殉爆した。ドラム缶は燃焼しながら吹き飛び、ドラム缶の上蓋は本体から離れて飛翔した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
廃油回収 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
|
物質 |
廃油(waste oil) |
事故の種類 |
漏洩、爆発・火災 |
経過 |
1983年7月28日19:00 原料廃油を仕込み加熱タンクに2時間蒸留して1晩放置した。 29日09:10 蒸留を再開した。 09:15 受槽上部から白煙とシンナー臭がした。 数分後、加熱管タンク下部からガスが漏れ出したため待避した。 その直後に爆発した。 |
原因 |
最初の漏洩の原因は不明である。加熱機器の近傍に可燃物のドラム缶を堆積していたことが事故を拡大した。 |
対処 |
薬剤による消火 |
対策 |
可燃物の安全管理、貯蔵管理の徹底 |
知識化 |
危険物が多量にある施設での可燃物の漏洩が大きな災害を引き起こすことがある。安全対策はその危険性を考慮して立てる必要がある。(ドミノ効果) |
背景 |
廃油は発生元により色々な油種のものが混ざっており、そのためか消防法危険物として明確に定義されていないため、行政指導が徹底していなかった。また、企業側の安全意識、知識が低かったと推定される。 |
よもやま話 |
☆ 廃油は軽質油や水分を含むことがある。それらは加熱されると蒸発し、ドラム缶の上蓋が外れて吹き飛んだり、ドラム缶自身が火を噴きながら飛散したりすることがある。非常に危険である。 |
データベース登録の 動機 |
危険物施設での可燃物の漏洩が大きな災害を引き起こした例 |
シナリオ |
主シナリオ
|
価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、危険物取扱いの意識なし、計画・設計、計画不良、廃油保管計画不良、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、負傷、3名負傷、組織の損失、経済的損失、直接損4000万円、組織の損失、社会的損失、事業所閉鎖
|
|
情報源 |
消防庁、危険物製造所等の事故事例集‐昭和58年(1984)、p.66-67
編集局、近代消防、No.255、p.124-131(1983)
|
死者数 |
0 |
負傷者数 |
4 |
物的被害 |
製造所全壊、事務所及び付属建物276平方m焼損。屋外貯蔵所の鉄製架台全壊、一般取扱所のポンプ・電動機等焼損(消防庁による)。 鉄筋コンクリート作り平屋建作業場1棟ほか6棟延624平方m焼損、ドラム缶793本のうち数百本焼損及び破損(大阪市消防局による)。 |
被害金額 |
4,000万円(消防庁による) |
社会への影響 |
半径100m以内の付近住民避難. |
分野 |
化学物質・プラント
|
データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
|