事例名称 |
常圧蒸留装置の捨てバルブのボンネットフランジからの漏洩による軽油の火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1990年01月21日 |
事例発生地 |
大阪府 堺市 |
事例発生場所 |
製油所 |
事例概要 |
常圧蒸留装置の平常運転中に高温ポンプ付近で火災が発生した。上部にあった捨てバルブのボンネットフランジのガスケットが不良になり、漏洩した。その軽油が高温部に接触して着火した。少量の漏洩は検知が困難であり、漏洩による火災発生を考慮した機器の配置やパトロールを行うことが必要であろう。 |
事象 |
運転中の常圧蒸留装置の通常は使わない配管のバルブの漏れで火災が起こった。洗浄用軽油配管の捨てバルブのボンネットフランジから軽油が漏洩し、近傍のポンプ(油温300℃)付近で火災となった。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
蒸留・蒸発 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
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物質 |
軽油(gas oil) |
事故の種類 |
漏洩、火災 |
経過 |
1990年1月21日13:19 パトロール中の運転員が火災を発見した。 13:20 蒸留装置を緊急停止した。 13:37 公設消防車が現場到着した。 14:45 放水停止した。 |
原因 |
バルブボンネットフランジのガスケット破断により軽油が漏洩した。高温部に接触したか、保温材の中に入り込むことにより火災となった。ガスケット破断の原因は明確ではないが、製作時の部分的欠陥か、バルブへの装着時の締め付け不良か、使用中の劣化等の可能性が考えられる。 |
対処 |
注水消火 |
対策 |
1.不要なバルブを短管に変更する。 2.高温機器上のフランジ増し締めと漏洩検査を行う。 3.高温機器上にフランジ、バルブ等を設置しない。 |
知識化 |
可燃物を扱う設備ではわずかの漏洩が大きな火災となる可能性がある。 |
背景 |
1.漏洩バルブが高温のポンプの上部に位置しており、漏洩した油がこれと接触して火災となった。バルブ位置が不備と考えられる。設計の不良とまでは言い切れないが、少し配慮不足とも思える。 2.捨てバルブの管理はどうなっていたか不明であるが、運転操作上必要がないバルブだから、気密試験でもきちんとチェックされていない可能性がある。特にボンネットフランジは注意されないことがある。 |
よもやま話 |
捨てバルブは工事上の都合で設置されるが、運転中はたんに漏れ可能箇所を増やすだけなので、最低限にすべきである。 |
データベース登録の 動機 |
材料の劣化または装着時のミスによる破損事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、調査・検討の不足、仮想演習不足、想像力不足、計画・設計、計画不良、配管設計不良、使用、保守・修理、ガスケット取りつけ不良、機能不全、ハード不良、ガスケット洩れ、二次災害、損壊、火災、組織の損失、経済的損失、損害額2,500万円
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例-平成2年(1991)、p.96-97
平田慶弘、危険物事故事例セミナー(1993)、p.34-38
高圧ガス保安協会、石油精製及び石油化学装置事故事例集(1995)、p.27-29
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
ケーブル,現場計器類,エアフィンクーラー,架台,バルブ,保温部分が熱損及び焼損 |
被害金額 |
2,500万円(消防庁による) |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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