事例名称 |
気密試験後の高圧空気を配管移送中に断熱圧縮による高温で爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1991年07月30日 |
事例発生地 |
千葉県 市原市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
高圧法ポリエチレン製造装置で、高圧の空気で気密試験をした。その後、その空気を他所に移して使おうとして移送中、中間の配管で断熱圧縮が起こり、高温の空気により配管付着のワックスが爆発した。高圧の空気で可燃物のある系を急激に加圧したことにより爆発を起こした。空気圧縮機や酸素配管で類似の事故が多く報告されている。 |
事象 |
高圧法のポリエチレン製造設備のワックスクーラー交換後の気密試験を圧縮空気で行った。その圧縮空気を、ワックス分離槽の気密試験用に再使用しようとして移送中に、中間の配管部分で爆発が起こった。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
設備保全 |
化学反応式 |
図2.化学反応式
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物質 |
ポリエチレン(polyethylene)、図3 |
圧縮空気 |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
1. ワックスクーラーの気密試験を16.2MPaで行った。 2. 配管経由でワックス分離槽に向け脱圧中、10MPaまで脱圧したとき配管が爆発した。 |
原因 |
気密試験で加圧した圧縮空気を脱圧するとき、空気抜きの配管部分で断熱圧縮されて高温となり、内壁に付着したワックスが発火し、爆発した。配管部分は細いので、大きな容量のワックスクーラーからの圧力がスムーズに抜けず、配管部分で断熱圧縮された。 |
対処 |
特になし |
対策 |
1.支燃性ガスによる気密試験は中止する。 2.通報の迅速化を検討する。 |
知識化 |
圧縮空気による事故は時折発生しており、酸素や空気を気密試験用に使うことは危険である。 |
背景 |
1.作業指示違反があった。別ルートでの脱圧指示があった。 2.急激な脱圧をすると、脱圧のルートや形状で断熱圧縮の危険性がある。圧縮空気の断熱圧縮熱と、加圧空気中での可燃物の激しい燃焼性に関する認識がなかった。 |
データベース登録の 動機 |
圧縮空気の危険性を認識させる事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、無知、知識不足、経験・勉学不足、計画・設計、計画不良、パージ時の脱圧計画不良、不良行為、規則違反、指示違反、不良現象、熱流体現象、部分的な圧縮工程で加熱、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、負傷、2名負傷、組織の損失、経済的損失、損害額4,000万円
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成3年(1992)、p.264-266
高圧ガス保安協会、高圧ガス保安総覧‐平成4年版(1992)、p.180-181
全国危険物安全協会、危険物施設の事故事例100-No.2-(1994)、p.92-93
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
2 |
物的被害 |
破片が半径20m範囲に飛散.高圧ガス配管,バルブ,照明器具等破損. |
被害金額 |
4,000万円(消防庁による) |
マルチメディアファイル |
図3.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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