事例名称 |
エポキシ樹脂製造装置における異物混入によるDMSO回収槽の爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1993年07月04日 |
事例発生地 |
愛媛県 新居浜市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
半導体封止用のエポキシ樹脂製造装置の溶剤ジメチルスルホキシド(DMSO)の回収槽からガスが漏れだした。内液の一部を取り出すなどの作業をしているうちに漏洩が激しくなり、ガスが爆発し、さらに回収槽内でも爆発し、周囲へ拡がった。何らかの原因で異物が混入し混触反応が起こった。潜在的に反応性の高い物質を取り扱う場合、様々な可能性を考慮した上で十分な危険性の予測を行うことが重要である。 |
事象 |
エポキシ樹脂製造装置で、ジメチルスルホキシド(DMSO)回収槽で爆発があった。通常の運転中に、溶剤のDMSO回収槽の温度が上昇したため、内容物を排出し、冷却を行った。しかし、内容物の残りが激しく噴出し、爆発した。なお、DMSO回収槽は加熱コイルの入った保温付きの10m^3の容器である。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
その他 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
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物質 |
ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、図3 |
エピクロロヒドリン(epichlorohydrin)、図4 |
ジオキサン(dioxane)、図5 |
事故の種類 |
漏洩、爆発・火災 |
経過 |
エポキシ樹脂を製造中、DMSO回収槽のブリーザー弁からガス漏れを発見した。点検したら、液温が通常の40℃から78℃に上昇し、それに伴い内圧が上昇していた。ブリーザー弁からの漏れを止めようとして、タンクのコイルに通水している90℃の温水を停止し、パージ用窒素などを止め、内容液を一部抜き出し、さらにコイルに冷却水を通水した。しかし、効果はなかった。ブリーザー弁からの漏出は激しくなり、爆発が発生した。さらに、爆発で破壊された配管から有機溶剤などが漏洩して火災となった。 |
原因 |
DMSO回収槽にエピクロロヒドリンなどの異物が混入して、DMSOの反応暴走的な分解を引き起こした。異物混入の原因はエピクロロヒドリン、ジオキサンの貯槽タンクとDMSO回収槽が連絡されており、その配管中の仕切りバルブの内漏れによるものと推定された。 |
対処 |
消防士による注水消火 |
対策 |
1.原材料等の安全データや評価試験による危険性の確認 2.物質の危険特性に基づく操作条件の再検討 3.計器室と生産施設の隔離 4.延焼防止設備の増強と遠隔操作化 |
知識化 |
多様な用途の原材料等を製造する化学産業での事故には、その影響が物損、人災、環境影響だけではなく、下流に位置する産業にも大きな影響を与えることがある。その点を考慮して防災対策に十分な対応をとることも必要であろう。 |
背景 |
DMSOを取り扱うプロセスでは過去に種々の反応事故が発生しているが、そのことに関する情報が不足していた。さらに、バルブは漏れることがあるという意識が希薄だった。バルブの内漏れに注意が向いていなかったと推測される。 |
後日談 |
同プラントは半導体のキー材料の世界最大の供給基地であり、エレクトロニクス産業全体が騒然としたが、比較的早く再開されたため影響は小さくてすんだ。 |
データベース登録の 動機 |
反応事故による製造停止が関連業界に大きく影響した事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、運営の硬直化、教育・訓練不足、調査・検討の不足、仮想演習不足、想像力不足、計画・設計、計画不良、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、爆発、破損、大規模破損、漏洩、二次災害、損壊、火災、身体的被害、死亡、身体的被害、負傷、3名負傷、組織の損失、経済的損失、損害額15億円、社会の被害、社会機能不全、社会機能損失、半導体生産に大打撃
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成5年(1994)、p.108-110
新居浜市消防本部、月刊消防、No.172、p.76-81(1993)
産業と保安、Vol.9(26)、p.7(1993)
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死者数 |
1 |
負傷者数 |
3 |
物的被害 |
鉄骨スレート葺4階建製造所1棟約650平方m部分燃焼.回収槽は大破して吹き飛び,建屋の屋根,壁面のスレート,トタン,窓ガラスの大半が破損.半径約1.5km以内の住宅などの窓ガラス及び屋根など破損. |
被害金額 |
15億円(消防庁による) |
マルチメディアファイル |
図3.化学式
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図4.化学式
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図5.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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