事例名称 |
ガソリンスタンドで廃棄地下タンクを堀上げ解体中の残存ガスの爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1991年05月27日 |
事例発生地 |
神奈川県 鎌倉市 |
事例発生場所 |
ガソリンスタンド |
事例概要 |
1.廃止したガソリンスタンドの地下タンクを堀上げる解体作業で、溶断中爆発が起こった。タンク内はパージ不十分のため、可燃性蒸気と空気が混合して爆発性混合気になっていた。そこにガス溶断器で加熱溶断したため、発火爆発した。 2.その結果、タンクの鏡板が吹き飛び、工事現場の鉄製囲い塀をなぎ倒し、道路を隔てた民家の玄関を大破して隣家の万年塀を破壊して止まった。 3.廃止タンクを解体する場合は乳化剤で洗浄後、水を充満するか、内部が可燃性混合気になっていないことを確認する必要がある。 |
事象 |
ガソリンスタンドを全面改修するために軽油の10kL地下タンクを廃止する。当該タンクは堀上げて、解体することになった。パージの後にガス溶断を始めた。内部に充満していた可燃性蒸気に引火して爆発し、鏡板が吹き飛び、近くの民家の玄関を大破した。 |
プロセス |
廃棄 |
物質 |
ガソリン(gasoline) |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
1991年5月7日 タンク数基について油の抜き取り作業を行った。 14日から24日 コンリート等の解体を行い、タンク1基の解体をした。 25日 タンク2基を堀上げ、1基を解体した。 27日午前 発災タンクを含めタンク2基を堀上げた。 午後 他のタンクと同様に重機を使って、鏡板を取ろうとしたが取れなかった。粉末消火器3kg一本を給油管経由でタンク内に放射して、ガス溶断を始めた。 1,2分後に爆発を起こした。 |
原因 |
タンク内は可燃性蒸気と空気が混合して爆発性雰囲気になっていた。そこにガス溶断器で加熱溶断したたため、発火爆発した。 |
対策 |
廃止タンクを解体するときは乳化剤で洗浄後、水を充満するか、内部が可燃性混合気になっていないことを確認する。 |
知識化 |
石油類のタンクは水で充満しても水抜きすれば空間部は可燃性混合気になることがある。 |
背景 |
パージ作業の不徹底と、安全管理不十分が最大の要因と考える。その理由は、地下タンクにかぎらず、危険物容器から完全に危険物を除去することは困難な作業である。フランジなどの隙間やサビの内部等に入り込んだ液はなかなか除去出来ない。一見パージ出来たように見えても、再び蒸発して可燃性蒸気が発生する。これを理解した上で、置換作業や火気工事の注意が必要になる。 |
後日談 |
事故後、消防庁より都道府県に廃止タンクの安全管理指導についての通知が出された。 |
データベース登録の 動機 |
タンクの内容物を完全にパージすることの難しさの例 |
シナリオ |
主シナリオ
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誤判断、誤った理解、作業前提条件の理解、価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、計画・設計、計画不良、工事計画不良、使用、保守・修理、解体、不良行為、規則違反、安全規則違反、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、死亡、身体的被害、負傷
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成3年(1992)、p.170-173
吉村修、月刊消防、No.145(1991)、p.30-34
全国危険物安全協会、危険物施設の事故事例100-No.2-(1994)、p.65-66
川崎市危険物安全研究会、今すぐ役に立つ 危険物施設の事故事例集(FTA付)(1997)、p.176-178
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死者数 |
1 |
負傷者数 |
1 |
物的被害 |
飛散物が前面道路を隔てたバス車庫内44.1mまで飛散.乗用車,軽貨物自動車,車庫内フェンス破損. |
被害金額 |
10万円(消防庁による) |
分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小川 輝繁 (横浜国立大学大学院 工学研究院 機能の創生部門)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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