事例名称 |
化学薬品の水との反応によるドラム缶の破裂 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1993年08月26日 |
事例発生地 |
徳島県 徳島市 |
事例発生場所 |
トラックターミナル |
事例概要 |
水との接触禁止のMDIをドラム缶に入れ返品するためにドラム缶に保管した。保管中にドラム缶が破裂した。昼夜の温度差でドラム缶内で結露させ、液状の水を発生させた。その水とMDIが反応し、二酸化炭素を発生させ圧力が上昇しドラム缶が破裂した。 |
事象 |
ジフェニルメタンジイソシアネート(通称MDI)の廃棄処分時に,絶対禁止されている水との接触が起こりドラム缶が破裂した。 |
プロセス |
廃棄 |
化学反応式 |
図2.化学反応式
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物質 |
ジフェニルメタンジイソシアナート(diphenylmethane_diisocyanate)、図3 |
二酸化炭素(carbon dioxide)、図4 |
水(water)、図5 |
事故の種類 |
破裂 |
経過 |
1. 製法が変わったため従来使用のMDIが不要となった。 2. 不用品のMDIをメーカーに返送するため、ドラム缶に受けた。 3. ドラム缶の保管中にドラム缶が破裂して、ドラム缶本体が吹飛んだ。 |
原因 |
MDIがドラム缶内で結露した水分と反応して二酸化炭素が発生し、ドラム缶内圧力を上昇させた。 |
対策 |
1.水との接触禁止を徹底する。混触禁止が分かっている場合は、容器に移す前に最低限目視検査をする。 2.同じく取扱中に空気中の湿気と接触しないような方策を講じる。 3.容器の保管方法を見なおす。 4.混触禁止や水分の危険について再教育する。 |
知識化 |
水と酸素は何処にでもある。見かけ上は液状の水分がなくとも、昼夜の気温差で凝縮水が溜まることがある。容器の管理等に十二分の監視が必要である。 |
背景 |
操業社はMDIと水の混触危険は知っていたが、MDI専用ドラム缶の管理が悪く、ドラム缶内で結露させた。ドラム缶を密閉して保管すべきを、蓋の密閉度が不十分で、昼夜の温度差でドラム缶内に結露を生じさせた。 |
データベース登録の 動機 |
昼夜の温度差で結露した水による事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、管理不良、管理の緩み、価値観不良、安全意識不良、安全教育・訓練不足、不注意、注意・用心不足、取扱い不適、使用、輸送・貯蔵、貯蔵方法、不良行為、規則違反、安全規則違反、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、破裂
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情報源 |
中央労働災害防止協会安全衛生情報センター、労働災害事例 No.765 、中央労働災害防止協会ホームページ
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
トラックターミナルのスレートぶき屋根が損壊 |
マルチメディアファイル |
図3.化学式
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図4.化学式
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図5.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小林 光夫 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻、オフィスK)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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