事例名称 |
日向に置いたブタジエンボンベの爆発・火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1994年08月14日 |
事例発生地 |
三重県 四日市市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
ブタジエンの500kgボンベを使用中に爆発した。使用開始前から重合の核となるポップコーンポリマーがあったこと、直射日光下に52時間置かれポップコーンポリマーが増殖し、温度上昇を起こし、安全弁を詰まらせ、圧力上昇し破裂、漏洩、爆発した。 ポップコーンポリマー: ポップコーンの集合体状のポリマーである。モノマーより体積が増えることにより、配管を詰まらせたり、容器を破裂させることがある。ブタジエンやクロロプレン等のジオレフィンでは温度が上昇したり、微量でも酸素が共存すると生成しやすい。 |
事象 |
ブタジエンの500kgボンベを保管した。小分けを繰り返している間に爆発した。 |
プロセス |
研究開発(開発) |
物質 |
1,3-ブタジエン(1,3-butadiene)、図2 |
ポリブタジエン(polybutadiene) |
事故の種類 |
爆発、火災 |
経過 |
1. ブタジエンを500kgボンベに充填した。 2. 使用個所に移動し、何回か小分けを行った。 3. ボンベの使用中、ボンベ破裂し、内容物噴出し、爆発・火災となった。 |
原因 |
ブタジエンのポップコーンポリマー発生による温度上昇、圧力上昇によりボンベ破壊、ブタジエンが噴出した。 |
対処 |
自衛、公設消防による消火活動 |
対策 |
1.ボンベ内にポップコーンポリマーを残さない洗浄を行う。 2.長時間使用しないようにボンベの小型化を実行する。 3.ブタジエンの重合危険について教育を行う。 |
知識化 |
ブタジエンは簡単にポップコーンポリマーなどを生成し、事故につながることが多い。溶存酸素の排除、重合防止剤の添加、高温保管を避けるなど基本的条件を守ることが重要である。 |
背景 |
ブタジエンにポップコーンポリマーは付き物であり、重合禁止剤の添加と温度を上げないことが肝要である。既にボンベにポリマー発生の核(発生していることを見落した)があったこと、直射日光下で保管し温度を上げたこと等ブタジエン取扱いの基本の逸脱が要因であろうと推察される。 |
データベース登録の 動機 |
ブタジエンのポップコーンポリマーによる典型的な事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、作業管理不良、不注意、理解不足、リスク認識不足、使用、輸送・貯蔵、保管環境悪い、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、爆発、組織の損失、経済的損失、損害額3000万円
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成6年(1995)、p.338-341
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
火元建屋8.3平方m焼損.ホッパー3基、排ガス脱臭装置2基部分焼.事務所内32棟、付近住宅等85棟で窓ガラスが割れるなどの被害. |
被害金額 |
3,082万円(消防庁による) |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小林 光夫 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻、オフィスK)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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