事例名称 |
有機過酸化物製造プラントにおけるメタノール回収残液の爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1995年10月27日 |
事例発生地 |
兵庫県 播磨町 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
有機過酸化物を含むろ過後の液からメタノールを回収し、釜残を残したまま放置した。保温用の蒸気バルブが開いていたため、メタノールが気化して、濃度の濃くなった過酸化物が分解し爆発した。危険認識の甘さが原因と推測する。 |
事象 |
有機過酸化物製造工場で、有機過酸化物を微量含んだろ過後の液からメタノールを蒸留で回収した。一晩放置した釜残が爆発した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
蒸留・蒸発 |
物質 |
メタノール(methanol)、図2 |
有機過酸化物(organic peroxide) |
事故の種類 |
爆発・火災 |
経過 |
1. 有機過酸化物を微量含んだろ過後の液からメタノールを蒸留で回収した。 2. 釜残を残したまま操業停止したが、保温用蒸気のバルブを完全には閉めなかった。 3. 蒸気の洩れで温度が上昇し、メタノールが気化し、過酸化物が濃縮されて、高温となった。 4. 釜部で爆発が起こり、破損した。蒸発・拡散したメタノールに引火し、火災になった。 |
原因 |
中途半端な釜残の処理が原因であろう。有機過酸化物を含んだ釜残を残した上に、熱源の供給を続ければ、過酸化物が濃縮され、さらに高温になるので分解が起こる。 |
対策 |
1.作業方法の改善 2.加熱媒体を蒸気から温水にして温度降下 3.温度調整機能を付加 4.安全管理体制見直し、教育訓練の強化 |
知識化 |
化学物質の中途半端な取扱いは事故を誘発する。安全な状態になるまで作業は中断しない。 |
背景 |
事故発生原因で記したような状態になぜもっていったか?運転基準の不備か作業員の勝手な判断かは不明だが、事前検討、教育不足などが真の要因であろう。危険な有機過酸化物を扱っている認識が希薄なのではないかと推測する。 |
データベース登録の 動機 |
微量過酸化物が蒸留操作により濃縮された事例 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、管理不良、管理の緩み、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、誤判断、誤認知、思い違い、定常操作、誤操作、誤った操作、不良現象、化学現象、濃縮、異常反応、二次災害、損壊、爆発、組織の損失、経済的損失、被害額1億円
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成7年(1996)、p.80-82
産業と保安、Vol.11(No.41)、p.6(1995)
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
S-5工場半焼(半損),S-1工場とS-4工場小損.近隣住宅2棟破損. |
被害金額 |
1億円(消防庁による) |
全経済損失 |
1億円 |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
小林 光夫 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻、オフィスK)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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