事例名称 |
携帯電話用外枠生産工場でのマグネシウム粉じんの爆発・火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2001年08月01日 |
事例発生地 |
宮城県 大衡村 |
事例発生場所 |
電子部品工場 |
事例概要 |
マグネシウム合金で携帯電話の外枠を作る工場で爆発火災があった。マグネシウム合金切削研磨工程ではマグネシウム合金粉が浮遊し爆発危険性の高い環境であった。そのような場所において集塵ダクト内に堆積したマグネシウム合金粉と水分が反応し、水素が発生した。発生水素が自然発火し、爆発火災が発生した。 |
事象 |
マグネシウム合金製の携帯電話用外枠の生産工場の表面切削研磨工程の集塵機で、爆発火災が発生した。集塵ダクト口と湿式集塵機をつなぐ鋼管中で爆発が起こり、集塵用パイプ穴から火炎が噴出、周囲の可燃物が燃え火災となった。10名が負傷した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
その他 |
物質 |
マグネシウム(magnesium)、図2 |
事故の種類 |
爆発・火災 |
経過 |
2001年8月1日午前5時1分頃 爆発火災発生 |
原因 |
集塵機につながる鋼管内に堆積したマグネシウム合金粉が、水と反応して自然発火し、管内に浮遊する粉じんを爆発させ、火災を起こしたと推定される。静電気の可能性も完全には否定できないが、集塵機、切削研磨装置、作業者とも確実にアースされていた。なお、マグネシウムは水と反応し水素を発生する。 |
対処 |
火災時には、粉末消火器と金属用の消火器で消火が行われた。金属用の消火器の原理は乾燥砂が噴射され、消火するものである。 |
対策 |
再発防止の対策として、エアグラインダーで研磨する時、大量の水を注入して、マグネシウム合金粉を洗い流して、マグネシウム合金粉が浮遊しないような方法を試行する。 |
知識化 |
軽金属粉じんは、粉じん爆発を起こしやすい物質が多く、細心の安全対策が必要である。マグネシウム合金では水分と反応し、水素を発生させる。それが着火源になりうることも十分認識する必要がある。 |
背景 |
マグネシウムが簡単に水と反応する危険性と、粉塵の怖さを理解していないように見受けられる。そのためか、見えないところの清掃点検を怠っている。管理側の意識や指導が問題であろう。 |
データベース登録の 動機 |
反応性の高い金属粉の集積による爆発火災例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、管理の緩み、無知、知識不足、取扱い物質の特性知識不足、計画・設計、計画不良、設計不良、使用、保守・修理、清掃不充分、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、爆発・火災、身体的被害、負傷、10名負傷
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情報源 |
消防研究所資料
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
10 |
物的被害 |
工場の窓ガラス破損,工場外への被害無し. |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
土橋 律 (東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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