事例名称 |
グリセリン濃縮設備の熱交換器の応力腐食割れによる漏洩と焼損 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1996年07月05日 |
事例発生地 |
兵庫県 尼崎市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
グリセリン水の濃縮設備を定常運転中、熱交換器の全周に溶接線に沿った割れが生じ、内容物が漏れて保温材が焼損した。残留応力などによる応力腐食割れとみられる。 |
事象 |
グリセリン水を蒸発により濃縮する設備において、グリセリン水を加温する熱交換器を定常運転中、熱交換器の鏡部にグリセリンが漏れて焼け焦げ、保温材が焼損しているのを発見した。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
蒸留・蒸発 |
物質 |
グリセリン(glycerin)、図2 |
事故の種類 |
漏洩、火災 |
経過 |
1996年7月5日 グリセリン濃縮設備を定常運転中、熱交換器の鏡部にグリセリンが漏れて焼け焦げ、保温材が焼損しているのを発見した。(時刻不明) 6日 漏洩箇所にスーパーメタルを塗布し漏れを応急修理した。 8日 製造メーカーが鏡と胴の溶接線から3mmの位置で鏡の全周に胴の長手方向の割れ(長さ2~3mm)があるのを確認した。 18日 割れの部分に再びスーパーメタルを塗布した。 |
原因 |
溶接線の熱影響を受ける位置であり、成形加工も行っているステンレスなので、残留応力他による応力腐食割れと推定される。 |
対処 |
割れにスーパーメタルを塗布した。 |
対策 |
性能検査・点検の確実な実施を行う。 |
知識化 |
1.加圧状態にある熱交換器は、熱と圧力の作用を受ける。 2.熱交換器は通常保温材で覆われ、また可動部分がないので、点検は簡略なものとなりやすい。 3.材料自体の点検は手間と時間がかかる。 4.貫通しなければ漏れないので、漏洩検査だけでは材料の割れや亀裂を発見できない。 |
背景 |
昭和59年7月の落成検査後、毎年性能検査をし、直近の月次点検が6月15日に行われたが、異常を発見できなかった。 |
データベース登録の 動機 |
応力腐食割れ(SCC)の例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、応力腐食割れ対策、計画・設計、計画不良、設計不良、製作、ハード製作、機械の製作、破損、破壊・損傷、割れ、二次災害、損壊、漏洩
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情報源 |
産業安全研究所資料(非公開)
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
熱交換器の鏡の全周に割れ。 保温材が焼損。 |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
板垣 晴彦 (独立行政法人産業安全研究所 化学安全研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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