事例名称 |
すでに受け入れてあった薬品と異なる薬品を移送して混触反応による計量槽の破裂、火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1998年08月06日 |
事例発生地 |
愛知県 岩倉市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
化成品工場において、ドラム缶入りの薬品をポンプで計量タンクに仕込む際、ドラム缶をポンプ近くに置いて離れた。善意の第三者がドラム缶の外観から品名を推測し、誤った計量タンクに薬品を送った。二つの原料の組み合わせにより反応を起こし、破裂して火災となった。 |
事象 |
エピクロルヒドリンの入っている計量槽に、誤ってジエチレントリアミンを移送したため、反応によりタンクの内圧が上昇して破裂し、火災となった。 |
プロセス |
貯蔵 |
単位工程 |
移送 |
単位工程フロー |
図2.単位工程フロー
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物質 |
ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、図3 |
エピクロロヒドリン(epichlorohydrin)、図4 |
事故の種類 |
破裂、漏洩、火災 |
経過 |
1998年8月6日10:40過ぎ 同僚がドラム缶置き場から仕込みポンプの前にドラム缶を運んでいた。 10:50 ドラム缶の色により中身がエピクロルヒドリンと判断し、自主的に仕込みポンプをドラム缶に取付けて移送を始めた。 計器室に行ってレベル計により移送を確認した。 2本目のドラム缶の移送を始めた。 10:57 空の1本目のドラム缶を空き缶置き場に運んでいた際、計量槽が破裂、火災となった。 爆発後にドラム缶の上部を見たところ、ジエチレントリアミンと書いてあり、誤りに気が付いた。 11:00 消防に通報。14台62人が出動した。 移送ポンプを停止。弁を閉止した。 粉末消火器による初期消火では消えなかった。 11:08 火災を鎮圧した。 |
原因 |
エピクロルヒドリンの計量槽にジエチレントリアミンを移送したため、反応により計量槽が膨張し破裂した。着火源は、破裂による電気設備の破損時の電気火花と推定される。 |
対処 |
1.移送ポンプを停止し弁を閉止した。 2.粉末消火器での初期消火は失敗した。 3.自衛消防が屋外消火栓により放水した。 4.公設消防はタンク車により放水した。 |
対策 |
1.受入作業のチェック体制を強化する。 2.移送ポンプとタンクの移設を行う。 3.安全教育を徹底する。 |
知識化 |
1.善意の第三者とはいえ、危険物の取扱いに確認なしでの作業は規律違反である。 2.容器の色による取り違えの防止は、1:1対応が必ず取れるなら効果的だが、時に同じ品目が違う色になる時は混乱のもとである。徹底しないならやめた方がよかろう。 |
背景 |
二つの基本的な問題がある。 1.善意とは言え、第三者が担当者に連絡もなく作業をしたことである。一見良いことのようだが、危険物を使用しているのだから、この様な作業は禁物で、規律違反であろう。 2.品名の確認をしなかったことである。まったく異なる性状の薬品の容器が外観が同じと判断出来ることも問題だが、使用前に内容確認は必要であろう。内容確認をしなかった理由は、ジエチレントリアミンの常時使用品はその時とは違う外観であり、常時使用品のエピクロルヒドリンと外観が似ていたため、エピクロルヒドリンと誤認した。間違いやすく安全工学的に望ましくない。 |
よもやま話 |
☆ 色による区別は難しい。製造メーカーが異なると同一の製品であっても違うことがあり、その結果異なる製品が同じ色になることがある。実例として、ガスボンベの色は万国共通ではない。 |
データベース登録の 動機 |
担当者外の第三者が善意で作業したが、間違った判断で火災となった事故例 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、運営の硬直化、教育・訓練不足、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、誤判断、誤認知、思い込み、定常動作、不注意動作、確認せずに作業、不良行為、規則違反、安全規則違反、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、破裂・爆発、身体的被害、死亡、身体的被害、負傷、3名負傷、組織の損失、経済的損失、損害額5500万円
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成10年(1999)、p.76-77
平成10年(1999)重大災害の概要、安全年鑑、p.275
産業安全研究所資料(非公開)
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死者数 |
1 |
負傷者数 |
3 |
物的被害 |
当該工場部分焼.貯蔵タンク及び付帯設備被害. |
被害金額 |
5,500万円(消防庁による) |
マルチメディアファイル |
図3.化学式
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図4.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
板垣 晴彦 (独立行政法人産業安全研究所 化学安全研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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