事例名称 |
ナフサ接触改質装置におけるフランジの締め付け不良によるナフサと水素の漏洩と火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1990年08月17日 |
事例発生地 |
和歌山県 有田市 |
事例発生場所 |
製油所 |
事例概要 |
平常運転中にナフサ接触改質装置の反応器入口フランジからガスが洩れ火災になった。フランジの締め付け力不足が原因と考えられる。当該フランジは1986年以後約6ヶ月毎にボルトナットの緩み点検を行っていたが,その管理が不十分であった。事故が起こった後で管理を強化するのはよいが,なぜ事故以前の管理が失敗したのか十分に検討する必要がある。 |
事象 |
製油所のナフサ接触改質装置の反応槽上部入口フランジのボルトナットの締め付け不良により,高温の水素とナフサが漏洩し,発火した。なお、反応槽入口の運転条件は3.2MPaG、490℃程度であった。 |
プロセス |
製造 |
単位工程 |
反応 |
反応 |
その他 |
物質 |
水素(hydrogen)、図2 |
ナフサ(naphtha) |
事故の種類 |
漏洩、火災 |
経過 |
1990年8月17日06:37 ナフサ接触改質装置の反応槽の上部入口フランジより出火しているのを係員が発見,直ちに緊急停止を行った。それにより反応槽の圧力が低下,次第に火勢が弱まった。 07:01 鎮火した。 |
原因 |
反応槽入口配管フランジのボルトナット20本中5本程度の締め付け不完全からくる不均一化により応力が集中,それにクリープ現象が重なって緩みが進行した。その結果、フランジの一部に隙間ができた。そこから高温の水素とナフサの混合物が漏洩し,発火した。 |
対処 |
緊急停止を行い,火勢が弱まったとこで移動式水蒸気消火設備で消火した。 |
対策 |
1.フランジボルトナットの締め付け管理の強化 2.ボルトナット緩みチェックの実施と増締めの強化 3.事故設備付近の月1回のリークテストの実施 4.同種設備の総点検の実施を行う |
知識化 |
点検が形骸化しては意味がない。 |
背景 |
6ヶ月毎のボルトナットの緩み点検を行っていたが、その管理が不十分で締め付け力が不均衡であったとされた。 |
データベース登録の 動機 |
点検が形骸化して役に立たなかった例。 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、組織運営不良、管理不良、作業管理不良、使用、保守・修理、点検不良、不良現象、機械現象、ボルトの緩み、破損、変形、クリープなど、二次災害、損壊、漏洩・火災
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情報源 |
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成2年(1992)、p.112-113
高圧ガス保安協会、石油精製及び石油化学装置事故事例集(1995)、p.65-66
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
被害金額 |
約100万円(高圧ガス保安協会による) |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
和田 有司 (独立行政法人産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 開発安全工学研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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