事例名称 |
重油タンク洗浄中の洗浄用ベンゼンの爆発 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1996年01月29日 |
事例発生地 |
三重県 四日市市 |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
重油タンクの開放時に、タンク内の加熱用スチームコイルの洗浄をベンゼン使用で行った。洗浄後にタンク内に残っていたベンゼンが爆発した。火災事故も論外だが、発災時では既にベンゼンの有害性は広く知られている。何故ベンゼンを用いた人力で行う洗浄方法が選ばれたのだろうか。洗浄を行っていた作業員らはベンゼンの危険性について十分教育され,認識していたか疑問である。 |
事象 |
重油タンク内の保温用スチームコイルの洗浄作業後にタンク内に残っていた洗浄用のベンゼンが引火,爆発した。 |
プロセス |
貯蔵(液体) |
物質 |
ベンゼン(benzene)、図2 |
事故の種類 |
爆発 |
経過 |
1996年1月29日08:30 当日の作業についてミーティングを行った。 09:40 2名がタンク内に入り,バケツに入ったベンゼンをウェスに含ませスチームコイルの洗浄作業を行った。何回か作業員の交代をした。 14:00頃 洗浄作業を終了した。続いてタンク床に残留したベンゼンをドレンからバケツに排出し,さらに空気駆動のポンプで空のドラム缶に入れる作業を行っていた。ポンプが不調となり,ポンプの調整作業の準備を行っているときにタンク内で爆発が起こった。 |
原因 |
1.換気が不十分であったため,タンク内に残留した洗浄用のベンゼンがタンク底部付近で可燃性混合気を形成したと推測された。 2.タンク内で使用していた投光器あるいはコードリールの接点が着火源になって、ベンゼン蒸気に着火したと考えられる。 |
対処 |
作業員による被災者の衣服の消火 |
対策 |
1.洗浄用のベンゼンの使用禁止, 2.強制換気の実施, 3.防爆電気設備の使用, 4.非定常作業のチェック体制の整備、等を実施する。 |
知識化 |
非定常作業に事故が多い。 |
背景 |
引火性の高いベンゼンの使用,換気対策,非防爆電気設備の使用など,作業チェック体制を含めた事前検討不足が基本要因と考えられる。 |
よもやま話 |
☆ タンク内清掃要項にはベンゼン爆発防止のための措置は記されていなかった。 |
データベース登録の 動機 |
非定常作業の事故の例 |
シナリオ |
主シナリオ
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価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、調査・検討の不足、仮想演習不足、想像力皆無、無知、知識不足、勉学・経験とも不足、計画・設計、計画不良、工事計画不良、使用、保守・修理、清掃、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、負傷、1名負傷
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情報源 |
中央労働災害防止協会、災害発生状況の詳細
消防庁、危険物に係る事故事例‐平成8年(1997)、p.146-147
中央労働災害防止協会安全衛生情報センター、労働災害事例 No.100130 、中央労働災害防止協会ホームページ
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死者数 |
1 |
負傷者数 |
1 |
物的被害 |
タンク屋根板及び側板上部破損 |
被害金額 |
38万円(消防庁による) |
マルチメディアファイル |
図2.化学式
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分野 |
化学物質・プラント
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データ作成者 |
和田 有司 (独立行政法人産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 開発安全工学研究グループ)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)
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